1月19日の京都6レース、3歳新馬戦(芝・1800m)。1番人気を背負った武豊(50)は、道中2番手から直線で先頭に立つと、内から迫ってきたフアナをしのいで先頭でゴールした。その勝ち馬はアドマイヤビルゴ。セレクトセールで史上2番目となる6億2640万円で落札された良血馬(父ディープインパクト)である。
だが、「アドマイヤ」の冠名で知られた名物オーナー、近藤利一氏と天才騎手は10年以上の長きにわたる「確執」でほぼ絶縁状態に陥る「禁断のコンビ」だったはず。いったい何があったのか。
昨年11月17日に近藤氏が急逝(享年77)。実は近藤氏は亡くなる前、アドマイヤビルゴを預けている友道康夫調教師に、こう言い残していたという。
「(ビルゴは)ユタカに乗せてくれ。ディープに乗ったことがあるのはユタカだけだから」
競馬ライターの兜志郎氏によれば、
「昨年の武の勝利数111のうち、友道厩舎の馬で7勝と、最も多い。武との関係が良好な友道師の口添えで近藤氏の気持ちを変えさせたんだと思います」
武はデビュー3年目の89年にリーディングトップの座を得ると、91年の2位を挟んで00年まで独走。長い黄金期を築いた。さらに03年から05年にかけては3年連続で年間200勝超えという離れ業を達成し、黄金期にあって、まさに絶頂を迎える。その後、08年までリーディング1位を続けていた。
今年は1月3週を終えた時点で12勝と、リーディング3位。このままのペースでいけば、昨年の111勝を上回ることは確実視され、
「夏前には通算4200勝を達成していることでしょう。そしてルメールや川田将雅(34)らとリーディング争いを繰り広げる。『第2黄金期』到来の序章となるのではないでしょうか」(前出・兜氏)
そしてなにより、電撃和解に導いた「遺言」の主、近藤氏は友道厩舎に14頭の愛馬を預けている。有力馬が多い「アドマイヤ」が今後、武に回ってくることで、「第2黄金期」はますます現実のものとなろう。「ミスター競馬」の新章、その全舞台裏について、1月28日発売のアサヒ芸能2月6日号が詳細にレポートしている。