裏ロム、セット打法、遠隔操作‥‥20兆円パチンコ産業に巣くうのは、不正に出玉をかっさらう「ゴト師」だけではない。ニセ攻略法の餌に食いつく「カモ」を虎視眈々と狙うヤツらが大量跋扈し、全国で被害があとを絶たないというのだ。魑魅魍魎の「パチンコ詐欺師」に引っ掛からないために、ありとあらゆる極ワル手口の全てを、今こそ明かす!
去る5月9日、北海道恵庭市の会社員A子さん(27)の携帯電話に、見慣れない1通のメールが届いた。
〈パチンコで必ず勝てるアルバイトがあります〉
こんな“求人メール”にA子さんは不審に思いながらも応募。しばらくして「このアルバイトを斡旋する情報提供会社」の社員を名乗る男からA子さん宛てに電話があった。
「会社とパチンコ台のメーカーが契約しており、必ず出る台がわかるんです」
さらに、
「指示どおり打てば負けることはありません」
そう説得されたA子さんは、これを「パチンコ必勝情報」だと信じ、男が指定する銀行口座に現金を振り込んだ。もちろん、このあとA子さんがホールに出向いて台に向かっても、パチンコ台が大当たりすることはなかった。男の口車に乗ったAさんはしかし、20日間で計12回にわたり合計約340万円の虎の子貯金を振り込んでしまったのだという。
全国紙社会部デスクが語る。
「これは典型的な“打ち子詐欺”の例です。同じ5月には、栃木県さくら市の21歳の女子大生も同様のメールで『初心者大歓迎、短時間、高収入』のうたい文句に心を奪われ応募。彼女は不審に思ったが、『途中で解約すると、また契約金がかかる』などと脅され、わずか9日間で301万円を振り込んでしまった」
こんなパチンコ詐欺の相談を数多く受けているクオレ行政労務オフィスの行政書士・徳田雅裕氏が言う。
「打ち子詐欺とは、パチンコを打つことが『仕事』であるとしてインターネットやメールで求人広告を出し、応募者から登録料名目や保証金名目などで金銭をダマし取る『詐欺』のことです。手口としてはまず、『○○店の△番台で打つと当たります』などと打つ台を指定されます。当然、大当たりすることはないのですが、その後は言葉巧みにダマされ、ズルズルとお金を振り込ませてしまうのです」
募集の文面は、〈パチンコ業界に興味ある方大歓迎「市場調査スタッフ」募集〉〈登録数ナンバーワン!「派遣出玉スタッフ」緊急募集!〉〈パチンコファンに朗報! 無料登録で始めるサイドビジネス〉〈攻略法検証スタッフ〉など、職種の名称も「解析シミュレートモニター」「攻略モニター」「実践スタッフ」「客寄せ出玉PR」「新台テスター」などさまざま。それにしてもなぜ多くの人がこんな単純な手口に引っ掛かるのか。
「多くのケースが初心者狙い。パチンコをあまり知らない女性が狙われやすいようです。今は求人も少ない時代で、旦那の給料も下がり、せめてもの生活の足しになどとうっかり手を出してしまう主婦も多いんです」(前出・徳田氏)
しかし、「オレは簡単にはダマされない」という男性にも、さまざまな落とし穴が用意されているという。
「まず詐欺師は『パーラーQ店に行って、P番台に座っている人を見てください。今その人が大当たりしているはずですが、うちのメンバーさんです』と言う。そこでQ店に行くと話どおりの場所で男性がジャンジャン大当たりしている。ただ、詐欺師にあらかじめ『その人に確かめてもこの仕事は秘密なので、絶対しゃべりませんよ』と釘を刺されているので、当人に確認はできないものの『スゴイ!ホントだ』と信じて契約してしまうんです」(前出・徳田氏)
これには当然「裏」があり、一部のホールで採用しているパチンコ出玉データを携帯サイトなどでリアルタイムに見られるシステムを最大限に悪用しているだけ。もちろん指定された台で大当たりしている人は会員などではないのだ。