きっかけは「喝!」で知られる「名物コーナー」恒例の激辛コメントだった。球界のご意見番が苦言を呈すれば、メジャー右腕は売られたケンカは買うとばかりに仲間をかばい、猛然と反旗を翻す。そしてさらに再反論で対立は深まるばかり。ガチンコ乱闘の結末やいかに──。
「サンデーモーニング」(TBS系)といえば、日曜朝に生放送中の人気情報番組。関口宏(69)の軽妙な司会に導かれ、野球評論家・張本勲氏(73)のあの名物スポーツコーナーでは、さながら水戸黄門の印籠のごとく、「喝!」の声が出るのを、今か今かと待つのを楽しんでいる視聴者も多いだろう。かつては大沢親分との名コンビで人気を博したが、親分亡きあとも張本氏の舌鋒はますます冴え渡っているように見える。
その張本氏が6月23日の放送で発したコメントが思わぬところへ飛び火した。
放送を振り返ろう。話題はもちろん野球。日本人メジャーリーガー、ブルージェイズ・川崎宗則(32)の映像が流れ、「4打数2安打3打点 率・229」というテロップが出る。川崎の活躍により、オリオールズに7対6でサヨナラ勝ちした試合である。だが、そこで張本氏は、いきなりこう斬り捨てた。
「川崎が人気あるんだねぇ。でも(ファンは)野球選手として見てないんじゃないの」
関口が「何でですか?」と畳みかけると、
「マスコットボーイみたいに。だって2割2分くらいじゃ野球選手じゃないよ」
通算3085安打、504本塁打、生涯打率3割1分9厘の数字を残した元安打製造機にとっては、川崎の成績など論評に値せず、単なるマスコットボーイ程度にしか映らないのだろう。このオリオールズ戦で川崎はメジャー2年目にして初本塁打、今季第1号を放ったが、関口はそれを確認するように、
「でもホームラン打ちましたしね」
と、川崎擁護の姿勢を見せる。だが張本氏の毒舌は止まらない。
「それはマグレでしょう。1号だもん、6月でまだ」
張本氏の川崎口撃といえば、6月2日の番組でも、こうダメ出ししていた。
「喝! 打ったのはいいけど、サラッとインタビューを受けないと。英語も勉強しなきゃ。(英会話本を)見なきゃしゃべれないなんて、アメリカに失礼」
現地特派員が言う。
「それは試合後のインタビューで川崎が手元の英会話本を見ながら『チームメイトが私に機会を与えた。私はそれは何とかしたかった』と答えたからでしょう」
こうした度重なる川崎批判についに腰を上げたのが、かつての侍ジャパンの仲間であり、同じメジャーでプレーするレンジャーズのダルビッシュ有(26)だった。自身のツイッターで即日、猛然と反論したのである。
〈いやかなりチームに必要とされてますよ!てかあのコーナーは何のためにあるのかな?けなすため?わからん〉
これにダルビッシュのフォロワーが〈年寄りが自分たちは凄かったって自慢するためのコーナーだと思います〉と追随すると、
〈メジャーのOBでそういう人たちいないなぁ〉
日本ハムの前身、東映フライヤーズでデビューした「直属の先輩」である張本氏が、まるで妄言を吐く「老害OB」であるかのような言いっぷりなのである。
張本氏の意見を支持する別のフォロワーが〈地元紙でも川崎選手が3Aに行く可能性が高いと書いて有るぐらいだから、間違った事は言ってないと思いますが〉とつぶやいても、ダルビッシュはこれを一蹴。
〈レイエス上げるからね。オプション的に落とせない選手が多いんです。メジャーは色々ありますよ〉
この番組の数日後に、川崎は実際に3Aに降格しているのだが(故障者が出て翌日に再昇格)、それは正遊撃手レイエスの故障復帰に伴うものであり、契約上降格させられない選手がいるから川崎が「犠牲」になった、ということなのだろう。
◆アサヒ芸能7/18号より