自民党・日本経済再生本部が5月22日に発表した政府への提言「日本再生ビジョン」に、「プロ野球16球団構想」が盛り込まれた。
アベノミクスの「第3の矢」である「成長戦略」のひとつとして、近々発表されることになる。
スポーツ紙デスクが言う。
「モデルとなったのは、地方球団である広島カープ。地元放送局の中継視聴率は20%を超え、地域ともども潤っています。まずはプロ化を切望しているBCリーグ、独立リーグをプロに移行させることを考えているようです」
NPBもこれに乗っかるようで、その思惑はというと、
「有力選手がどんどん海外に流出するのを阻止したい。今は若い選手が日本のプロ球団を経ずにいきなりメジャーに挑戦するケースも増えている。これはぜひ避けたい。そこで、チームを増やすことで門戸を広げてアピールしたいのです」(スポーツライター)
ところが球団増にあたって問題は山積。かつて近鉄が消滅、楽天が新規参入する際、近鉄の選手は分配ドラフトでオリックスと楽天に振り分けられた。今回も新規参入となれば、既存の各球団から何人かずつ出さなければならなくなる。楽天・星野仙一監督は真っ先に16球団構想に賛意を表明したが、自らの球団の過去を振り返ると、反対表明などできるはずもなかったのだ。
「さらには、莫大な供託金がネックになれば、野球協約を変更する必要が出てきます。ここでもひと悶着あるでしょう」(NPB関係者)
こうした舞台裏には、かつて1リーグ構想を提唱するなど、プロ野球界に多大な発言力を持つ巨人・渡辺恒雄球団会長の影響が少なからずあるという。
「渡辺氏は16球団どころかもっと増やしたい。地方に球団が増えれば、部数が落ち込んでいる読売新聞の勧誘に使える、とのメリットもあるからです。ゆくゆくはJリーグのように、全都道府県フランチャイズ制に移行したい、との野望も持っているとか‥‥」(前出・デスク)
ただ、現実的には「野球を知らない人間の机上の論理」との声があるように、赤字覚悟で球団経営に乗り出そうとする企業がいくつあるのか──。