「『不要不急』とか、なんか難しい言葉じゃなくて、これ、『用もねーのに外行くな』って言えばいいじゃない」
少し前、都知事が記者会見を開き、コロナウイルス感染拡大を食い止めるため、とにかく外出を控えるよう呼びかけたコメントに対し、殿は生放送のレギュラー番組の中で、冒頭の言葉を言い放ったのです。
で、そんな殿の発言は、当たり前のようにその10分後には、〈たけし「用もねーのに外行くなって言え!」 コロナ関連用語に苦言』〉といった見出しとなって、ネットニュースにあがっていました。
現在、毎週、殿が生放送の中で発言するコメントは、漏れなく瞬時にネットにアップされる流れができていて、そんな状況を殿は、
「テレビで見て、俺が言ったことをそのまま書いてネットにあげてニュースにするって、それ、何なんだよ」
と“なんだか腑に落ちね~な”といった感じで、何度か軽くボヤいています。
半年程前にも、殿と楽屋にて、「テレビの中のタレントの発言がすぐにネットニュースになる現在」といったテーマで、あーでもないこーでもないと雑談をしたことがあったのですが、その時、殿は、
「昔はよ、タレントのコメントが欲しい時は、一応はマスコミが現場にやって来て取材してたよな。まー、それがうっとうしかったけどよ」
と、まずは昔の風潮を懐かしむと、続けて、
「1回よ、しゃべった映像が勝手に使われるのが嫌で、顔に思いっきり、チ○ポとかコーマンとか、放送禁止用語をいっぱい書いて、取材受けたことあったな。どうだ、流せるものなら流してみやがれ! ってやったことあったな」
と、笑いながら過去の“たけし流マスコミ対策”を振り返っていました。
で、この時の雑談はさらに“昔は芸能人が正月にハワイに行くと、必ず先回りしていたマスコミが現地の空港で待ち構えていて、そのマスコミにタレントがサングラスなんかかけたままコメントしていた”といった話題になり、殿は、
「だけど、落ち目のタレントが無理して借金までしてハワイに行ってよ。自分からマスコミ探しておいて、さも『あっ、見つかっちゃいました。参ったな~』なんて顔して、コメントしてたバカ野郎もいたけどな」
と、芸能人の悲しいサガについても言及していました。
最後に、「ビートたけしとマスコミ」といったテーマでまず思い浮かぶのは、86年、某出版社襲撃事件後の記者会見です。居並ぶマスコミを相手にまったく動じず、顔はイラついているものの、受けた質問に対し、大変クレバーな言葉を返し、恐ろしく肝の座った圧倒的ヒューマンパワーをほとばしらせまくっていた殿の姿です。
今でもあの映像を見返すと、「やっぱりたけしはすげ~な」と、1人勝手に興奮しては、弟子になれた幸せをかみしめている“たけし原理主義者”のわたくしなのです。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!