しおらしく過ごしていた清純派女優が突然、演技に目覚めた。それは、オープンな場所での「まぐわい」を見せることから始まった。
あの吉永小百合が初めて汚れ役に挑んだのは、五木寛之原作「青春の門」(75年、東宝)だった。福岡・筑豊のボタ山を舞台に、未亡人となりながら継子を懸命に育てる伊吹タエ役に扮している。
吉永が「亡き夫を思って自分を慰める」のも初めてなら、炭坑事故で閉じ込められた場面では驚愕の展開が!
「恵んでください、後生ですから」
気を失っている吉永に炭坑夫が手を合わせ、ズロースを下ろして貫通する。眠ったままの吉永だったが、いつしか坑内で、わずかに腰の動きが荒々しくなっていく…。実は吉永は、初脱ぎも辞さない覚悟でいた。ところが、胸元を見た監督が、やんわりストップをかけたというエピソードも残っている。
NHK朝ドラ「いちばん星」(77年)のヒロインに決まった高瀬春奈は、体調不良により大役を降板。さらに映画「魔界転生」(81年、東映)の細川ガラシャ役も、同じように病気で逃してしまう。そんな高瀬が一念発起し、脱ぎのある作品で売れっ子となる。日活ロマン映画の一篇である「武蔵野心中」(83年)で、太宰治の情婦・山崎富榮に扮し、山の中で豊かな肢体を見せつけて男の下で悶えまくったのだ。そして伊丹十三監督第1作の「お葬式」(84年、ATG)では、山崎努の不貞相手役で、やはり山の中で生々しく後ろから受け入れる。たわわなバストとグラマラスな体には、野外こそうってつけということか。
デビューこそ朝ドラの清廉な役だったものの、映画初出演の「ええじゃないか」(81年、松竹)で、早くも路上の小用を足すという演技を披露したのが田中裕子だ。そして松本清張原作の「天城越え」(83年、松竹)では、身を売って生きる女を鮮烈に演じた。物語の主人公である少年が天城峠を歩くと、草むらから物音が聞こえる。おそるおそるのぞき見すると、田中が土工に後ろから襲われていた。着物を着たままだが、土工の乱暴な愛撫に、左胸があらわになる。田中の荒い息遣いが、峠の草むらに残響となって響いていく…。
今が旬の広瀬すずは、17歳にして米兵に暴行される苛酷な役に挑んだ。
〈台本、原作を読んで、自分の何かが変わるってわかんないけど、確信できたんだよね、不思議なことに。絶対やりたい!って。原作通りハードなシーンもあるんだけど、それでも絶対やりたいって〉
撮影を終えた直後、広瀬はブログにて心境をこう明かした。16年公開の「怒り」(東宝)においてである。さらに広瀬はこうも語った。
〈オーディションを受けて自分でやりたいと言ったけど、多少後悔しました〉
沖縄に住む女子高生が、夜の公園で2人の米兵に輪姦されて処女を失う。さすがに着衣のままではあるが、スカートの中に手を入れられて激しくまさぐられる。その表情は恐怖をみごとに訴えており、劇場が静まり返ったという。
斉藤由貴は主演ドラマ「同窓会」(93年、日本テレビ系)で異彩を放った。冒頭から白衣姿の斉藤が股の間の毛じらみをかきむしり、放送中盤では夜の工事現場で行きずりの若者(山口達也)と、片足を上げた対面立ちポーズでスカートを揺らす。再放送もままならない過激さであった。