芸能

吉永小百合の「過去・現在・未来」(6)「私が死んだら」の意思表示

 彼女との交流では、こんなことも思い出される。

 結婚後のある時、私の自宅に、女優らしからぬ地味な服装でやってきた。ティータイムで熱い紅茶をゴディバのチョコレートなどのお菓子と一緒に出そうと、「ダージリンとアールグレイ、どっちがいいですか」と聞いた。小百合は「アールグレイ」と即答。さぁ淹れようと思ったら、既に私の母がダージリンを注いでしまっている。

「私が淹れるって言ったじゃない!」

 台所で母を怒鳴る私。プーッとふくれながらダージリンを持っていくと、小百合に怒られてしまった。

「ダメじゃないですか、お母さんにあんな言い方しちゃ!」

 結婚するまで親の言いなりになってきた小百合は、反発したり怒鳴ったりもろくにできなかったに違いない。そんな彼女は、面と向かって感情的に親を怒鳴る私を、どういう気持ちでたしなめたのだろう。

 小百合の私生活については、秘密主義だという声を周囲から聞くことがある。ダージリン事件とはまた別の機会に、私の自宅に遊びに来た小百合に、部屋の中にその時にはもう解散していたファンクラブの会報「さゆり」を積み上げてあるのを見せた。そして無意識にこんな言葉が口をついて出ていた。

「小百合ちゃんのこと、いつか書くのよ」

 するとひと言、

「私が死んだら‥‥」

 つまり、書いてほしくないという意思表示だったのだ。

 ところで、結婚、休養、そして復帰してからの女優・吉永小百合はどうだったのか。

 炭鉱の町を描いた作品「青春の門」(75年・東宝)では自慰シーンもあったものの、どうにもイメージがそぐわない。裸を見せたくないなら、中途半端にやらなければいいのに、と私は思うのだ。

 原作者の五木寛之は「吉永さんはなんで脱がなかったんだろうね」とコメントしたが、実はこんな説がある。濡れ場の要望が出た際、小百合は付き人にヒソヒソと相談して、

「今、乳首が荒れているからできません」

 と言ったというもの。なんとも笑ってしまいそうな「迷言」である。

 そもそも小百合が浦山桐郎監督から出演オファーを受けた際、倍賞美津子の方がグラマーでたくましい感じなので(炭鉱の女に)向いている、と断ろうと会いに行ったはず。でも監督から「そんなこと言わないで、頼むよ」と食い下がられ、出演を承諾させられた。作品を見るとやはり、ほっそりしすぎている小百合にはそぐわない役だった。

 もともと脱ぐことには積極的ではない彼女。結局は「脱皮」できなかったという事実だけが残ってしまった。

中平まみ(作家)

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