盛り上がりをみせる夏競馬。8月15日から小倉も始まり、3場開催となるが、8月9日の新潟、札幌のメインはダートでの重賞だ。
新潟は3歳馬によるレパードS。今年で12回目と歴史は浅いが、トランセンド(第1回)やホッコータルマエ(第4回)など、ここで勝ち負けしてスターダムに躍り出る馬も少なくない。注目すべき一戦と言っていいだろう。
今回も粒ぞろいだ。3勝馬のタイガーインディ、デュードヴァン、ブランクチェック、ミヤジコクオウ、ライトウォーリア、ラインベック、そして2勝馬ではエイシンアメンラー、バンクオブクラウズといった面々だが、いずれも将来性は十分。
ただ、目下のところ大きく抜けている馬は見当たらず、混戦模様。馬券的には簡単に収まりそうにない。
とはいえ、これまでの傾向としては、人気、有力どころで決着をみることが比較的多い。
過去11回、馬単での万馬券は3回(馬連は2回)。1番人気馬が5勝(2着2回)、2番人気馬は3勝(2着1回)。1、2番人気によるワンツーは2回。そう大きく荒れる重賞ではないが、3回ある馬単万馬券がここ3年連続して出ている点は見逃せない。
成長期にあるノビシロ十分な若駒同士のぶつかり合い。キャリアも浅いだけにつかみづらいところはある。ダートの適性はむろんのこと、能力がどの程度かを見極めることも肝心だ。
また、第2回を制したミラクルレジェンドのように牝馬の好走もみられるが、出走頭数の多さもあり、牡馬が優勢である。
今年は抜けた存在がいないと前記したが、ならばここにきてのしてきた馬に目を向けたい。最も期待を寄せたいのは、前2走の内容がいいケンシンコウだ。
「以前のひ弱さが消えて、ここにきて見違えるほどよくなった。たくましくなったのがなにより。体だけではなく、気持ちの面でも成長を感じる」
小西調教師はこう言って目を細める。
確かに1勝クラスを勝ち上がった前々走は流れが不向きの中、それまで見せたことのない強烈な末脚を発揮してみせたし、前走のユニコーンSでは、11番人気ながら3着に押し上げた。勝負どころで不利を被り、スムーズさを欠く場面がありながらの好走。まともだったら2着があったかもしれない。
この中間は順調そのもの。以前は気性面に問題があった馬だが、今は落ち着き払って実に好気配。稽古の動きもよく、坂路で追われた1週前の追い切りも軽快かつリズミカルだった。抜かりなく調整されていると言っていい。ならば期待していいのではないか。
パイロ×クリプティックラスカル×アジュディケーティングという典型的なダート血統。しかも近親に東京ダービーを制したロッキラインがいる血筋で、今後の活躍も大いに見込んでいい。
折り合い面で不安がなくなったのもプラスで、直線の長い新潟は歓迎だろう。力を要する良馬場なら、頭から狙い打ちといきたい。
札幌のエルムSは、ワイルドカードに期待。3カ月半ぶりの実戦になるが、実にいい雰囲気で、1週前の追い切りも文句なし。
「前2走は疲れが残っていて本来の姿になかったが、いい状態に戻っている。巻き返しに期待したい」とは木村調教師の弁。
長くいい脚を使うタイプで本来は直線の長い東京コース向き。しかしここは、逃げ、先行勢がそろって流れは向くはずだ。「一発」があっていい。