芸能

藤圭子と「昭和歌謡」の怨念(12)ヒカルの母に対する“ボーカリストとしての尊敬”

20131003i_2

 06年3月3日、ニューヨークのJFK国際空港にて、多額の現金を没収されるという事件が起きた。これが久々に世に出た藤圭子の名前だったが、その金額が約5000万円であったことも人々を驚かせる。

 ヒカルの莫大な印税の一部が母親に渡ったとはいえ、海外で巨額の現金を持ち歩く──スポニチの阿部公輔は、騒動の直後に圭子から話を聞いている。

「純子さんにすれば、お金を持っていても『やましい金』と思われるし、そもそも銀行をまったく信用していない。だから自分で持ち歩くということなんだけど、それは世間の常識と違って受け入れられなかった」

 圭子は阿部だけでなく、テレビ局やヒカルのレコード会社にも“急襲”の形で連絡を入れ、釈明の機会を求める。これにいくつかのテレビが食いつき、誰もが目を疑ったインタビュー映像となった。イメージと違う饒舌なしゃべりや、目が飛んでいるようにも見える表情は、皮肉にも「生前最後の映像」となってしまう。

 この一件が決定打となり、夫婦は07年に7度目の離婚。2度と復縁することはなく、娘のヒカルとも疎遠になった。

 阿部は、圭子が宇多田家からつまはじきとなった後も、呼び出しを食らっては熱弁を聞かされる。

「二言目には『娘は天才だから』ですよ。デビュー前の売り込みの時期ではなく、大ブレイクした後も変わらなかった。ただ、そばにいない娘に向かってのアドバイスを忘れない。今のままではダメって、いつも口にしていました」

 阿部が舌を巻いたのは、音楽に対する膨大な知識である。もともと聡明な人だとは思っていたが、アメリカのプロデューサーや一流ミュージシャンの名前が次々と出てくる。ドラムやベースは誰々がヒカルに合っているというように──。

 作詞作曲も手がけるクリエーターのヒカルだが、母に対する「ボーカリストとしての尊敬」は疎遠後も変わらなかった。在りし日の母の歌唱をユーチューブで楽しんでいると、自身のツイッターにも綴っている。

 一方、圭子はデビュー当時のキャッチフレーズだった〈怨念〉を、何度となく言葉にしている。

「この世で一番、憎んでいるのは母親と石坂まさを」

 そして、こうも言っている。

「阿部家のお墓には絶対に入りたくない」

 圭子が母親と縁を切り、他界した際も顔を出さなかったほど徹底していた。

 ある日、圭子は阿部にポツンと告げている。最後に阿部が圭子と会ったのは3年前で、ヒカルと音信不通になっていた時期だ。

「私は誰にも知られずに、消えてゆくように死んで行きたい‥‥」

 母の没後にヒカルは「遺言書」があったことを明言した。その内容については明かされず、存在すらも取り沙汰されたが、晩年の圭子の言動からはなかったとは言い難い。

 昭和の時代に咲いた藤圭子というあだ花は、自身が望んだように葬儀も行われず、ひっそりと役目を終えた──。

カテゴリー: 芸能   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」
5
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」