今週から秋の東京、京都開催となる。ただし、京都はスタンドの改築や馬場改修工事などが控えており、一開催のみだ。
コロナ禍により、2月末から無観客競馬が続いていたが、10月10日~11月1日(新潟開催は10月25日)まで、事前に指定席を購入した人に限り、入場が可能となった。無観客競馬は味気ないだけではなく、飽きもきていただけに、人数制限(東京1047席、京都778席、新潟621席)があるにせよ、スタンドにファンが入れるのは喜ばしいことである。
来週からはGI戦線に突入するが、開催替わり第1週目のメインは、東西ともに天皇賞・秋の前哨戦。東京では毎日王冠が行われる。今年で71回を数える伝統ある一戦で毎年好メンバーがそろうが、今回は頭数が少ない。
ただ、生きのいい3歳馬が2頭いる。ダービー2着のサリオスと同4着のサトノインプレッサがレースを盛り上げてくれるはずだ。
ともにダービー以来の競馬となるが、早くからここを目標にしっかりと調教が積まれており、力を出せる態勢が整っている。過去10年で7頭が連対しているように、データからも3歳馬の活躍は目立ており、この2頭のチャンスは十分。
しかし、迎え撃つ古馬勢も活気のある馬ばかりで、3歳両馬にとって壁を突き破るのは簡単ではあるまい。穴党としても人気の3歳馬より地力で勝る古馬勢に目をつけたい。
期待を寄せるのは、5歳馬のアイスストームだ。
前2走が14着、12着と2桁着順。ということで評価は低いが、軽視するのは禁物と言っておこう。
前々走のエプソムCは、泥田のような不良馬場での競馬。途中で戦意を喪失した格好だった。
そして前走の新潟記念は入れ込んで落ち着きを欠く状態。18頭立ての14、15番手という後ろからの競馬で、展開が不向きだったが、それでもしまいの脚は見せどころがあった。12着といっても勝ち馬との差はコンマ8秒。巻き返しは大いに可能とみたい。
実際、この中間はふっくらとして、減っていた体重が元に戻り、見た目いい雰囲気。稽古の動きもリズミカルで大幅な良化ぶりを見せている。
「いい時の状態に戻っている。速い時計が出る開幕週の馬場もプラス。楽しみにしている」と、吉村調教師をはじめ、厩舎スタッフが口をそろえるほど。力を出せる仕上がりにあるのは間違いなさそう。ならばチャンスがあっていい。
全5勝のうち2勝をあげているように、直線の長い東京コースは相性がよく、距離もピッタリ。走れる条件はそろっている。
祖母ストームソングは、BCジュヴェナイルフィリーズなどGI2勝の名牝で、ミッドサマーフェア(GIIIフローラS)が近親にいる血筋。良馬場なら一発十分とみる。
一方の京都大賞典は、頭数がそろう。目移りしてしまうが、最も狙ってみたいのは、アイスバブルだ。
前々走の目黒記念は2着に好走したが、前走の新潟記念は16着と凡走。3カ月ぶりの実戦で本調子ではなく、参考外にしていい。
それに一度使われた今回は違う。乗り込み量が実に豊富で、1週前の追い切りは、しまいの伸びがよく、文句なしだった。
池江調教師は「ハナからここが目標。距離が伸びていいタイプ。相手はそろっているが、そう見劣りしない。状態は一変しているし、ここは楽しみ」と、ヤル気をにじませていた。
京都コースは〈1 1 1 0〉と相性がよく、こちらも走れる条件がそろっている。クロフネ(NHKマイルC、JCダート)ほか近親、一族に活躍馬がズラリといる良血。大駆けがあっても不思議はない。