GI朝日杯フューチュリティSが今週のメイン。中山から場所を阪神に替えて6年目。その中山では2000メートルで争われるホープフルSがGIに昇格したことで、こちらはこれまで以上に、GIのNHKマイルなどマイル路線に重きを置く顔ぶれがそろうようになった。
今回、その最たる存在がサリオスだろう。新馬、GIIIサウジアラビアロイヤルCを連勝中だが、ともに芝のマイル戦で、実に強い勝ちっぷりだった。
この馬が一本かぶりの人気とみる向きも多いが、前哨戦のデイリー杯2歳Sを快勝したレッドベルジュール、京王杯2歳Sをレコードで圧勝したタイセイビジョンの両陣営も強気の構えで、見応えある激しい競馬が展開されそうだ。また、伏兵視されている馬も少なくなく、どう転ぶか予断は許さない。
そもそも阪神に移ってからのこれまでの5年間、馬単での万馬券は2回(馬連で1回)。馬券的には人気どおり簡単には決まっていない。
さらにデータをひもとくと、馬単が導入された02年以降、これまでの17年間、馬単での万馬券は6回。この間、1番人気馬は4勝(2着1回)、2番人気馬は6勝(2着1回)。1、2番人気馬のワンツー決着は2回のみで、まずは中穴傾向のGI戦と言っていいだろう。
ならば穴党としては、やや人気薄の伏兵を中心に据えて、そこから人気、有力どころへ流すというのが馬券の筋と言えようか。当方としても、そんな伏兵視されている馬に目をつけてみたい。
狙ってみたいのは、トリプルエースだ。6月の阪神で早々と新馬勝ちした馬で、その際の勝ちっぷりの良さから大いに注目していた。漆黒(青鹿毛)のバランスの取れた好馬体からして大物感も十分である。
2走目の小倉2歳Sは、3カ月ぶりの実戦で体重が12キロ増。やや余裕残しの状態だったため、落ち着きを欠いて出遅れ。なのに道中は、最後方に近い位置から追い上げて、直線は馬群を縫っての2着。6ハロン戦だったことを思うと、そう簡単にできる芸当ではなく、かなりの器だと、その時に確信を抱いた。
続く前走のデイリー杯2歳Sは、さらに体重が8キロ増。これもレース間隔が2カ月開いていたため、少々余裕残しの状態だったのだろう。今度は道中、引っ掛かる場面があったほどで、4着に敗れたのもやむをえなかった。それでも勝ち馬とはコンマ4秒差。断じて軽く見るべき馬でないことがわかるだろう。
今回のレース間隔は1カ月。しっかりと乗り込んで前2走とは違って大幅な良化ぶりを見せている。1週前の追い切りも文句なしで、軽快かつリズミカルな動きだった。
「いい感じに仕上がりつつある。強敵相手でも差はない」と、斉藤崇調教師をはじめ、厩舎スタッフが口をそろえるほどだ。
母は地方(船橋)で走って目立たなかったが、母系は欧米の一流血脈。父シャマーダルは全欧2歳王者(仏2000ギニー、仏ダービー)で、母の父はサンデーサイレンス。マイルの距離はドンと来いだ。
そして名種牡馬ミスタープロスペクターの3×4の近親配合(奇跡の血量)という魅力の馬。良馬場なら頭から狙い撃ちといきたい。
逆転候補とみたいのは、ウイングレイテスト。前走のデイリー杯2歳Sでは本命視して儲けさせてもらったが、休み明けだったその前走を使われてさらに良化。一族にチョウカイキャロル(オークス)がいて、近親にも活躍馬が多くいる馬。道悪も上手で、注目したい。