今週のメインは天皇賞・秋。昨年の覇者アーモンドアイの連覇なるかが焦点の一つで、この春の宝塚記念を圧勝したクロノジェネシスとの「女傑対決」も注目の的だ。
牝馬は他にスカーレットカラーもいて、「牝馬優勢」とみられているのが今年の秋の盾だが、むろん、牡馬勢も負けてはいない。
天皇賞・春以来の実戦になるフィエールマンも万全と思える出走態勢を敷いているし、ウインブライト、キセキ、ダノンプレミアム、ブラストワンピースなど、GI勝ち馬が控えている。牡馬と牝馬のどちらに軍配が上がるのか、興味は尽きない。
まず、データをひもといてみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単による万馬券は5回(馬連2回)。この間、1番人気馬は半数の9勝(2着3回)をあげている。一見、馬券的には堅そうに捉えられるが、1、2番人気馬によるワンツー決着は、わずか2回。というのも2番人気馬は、18年にレイデオロが勝利するまで、21年間も勝ち星がなかったのだ。
そして年齢的には、充実著しい4歳馬(8勝2着8回)、地力ある5歳馬(8勝2着6回)が圧倒的に優勢なのだが、こうしたデータの他に、東京・芝2000メートルで行われる天皇賞・秋は、脚質のいかんにかかわらず、内枠を引いた馬が有利であることは指摘しておこう。
スタートして加速がつくところで、急に折れる最初のコーナーに出くわす。よって、多頭数になるほど外枠の馬はハジかれたり、膨れたりするなど、不利を被りやすいわけだ。
とはいえ、今年は登録が12頭、しかもこれほどの一線級がそろうと、多少のロスなどあまり問題ないのかもしれないが、同条件でのレースは他にもあるので参考にしてもらいたい。
ここであらためてメンバーを見渡してみると、いくら穴党とはいえ、東京・芝2000メートルという条件を考えれば、やはり「女傑2頭」に目がいってしまう。しかし、この両馬を比べると、アーモンドアイに一日の長あり──と思えてならないのだ。
クロノジェネシスが宝塚記念で見せた、他馬を寄せつけぬパフォーマンスには驚かされたが、この馬には道悪がかなり味方になっていたのではないか。ライバル勢がノメッて苦労していたのに比べて、飛ぶがごときの走りだったからだ。
ここにきて地力強化されているのは確かだが、東京のこの舞台だとアーモンドアイに軍配を上げたい。
リフレッシュ放牧で立ち直ってからは、ここまで抜かりなくきており、非の打ちどころがない調整ぶり。2週前、そして1週前の追い切りとも文句なし。特に2週前は主戦を務めるルメール騎手が手綱を取り、軽快かつリズミカルな動きで仕上がり状態のよさを誇示していた。
「衰えはみじんもない。言うことなし」と、主戦が絶賛したほどだ。
ならば鉄砲(久々)で連対を外したことがなく、得意の東京コース。素直にこの馬の高い能力を信じてみたい。
相手は当然、クロノジェネシスほか人気どころということになるが、穴で狙ってみたいのも牝馬、スカーレットカラーだ。
ここにきての充実ぶりには目をみはらされる。
「体重が増えて、体そのものがしっかりした。本当にたくましくなった」と、高橋亮調教師が目を細めるほどである。
強烈な末脚が身上で、直線の長い東京は持ってこい。一発があっても不思議はない。