「おなかが張って苦しい」「げっぷが出やすい」といった症状があるのに、胃カメラや内視鏡の検査をしても異常なし。もしかしたら、小腸の細菌が異常に増える「小腸内細菌異常増殖症(SIBO)」かもしれない。
聞き慣れない言葉だが、近年、注目されている病気だ。海外の調査によると、おなかの調子が悪く、便秘や下痢を繰り返す「過敏性腸症候群」と診断されている人の60~80%が「小腸内細菌異常増殖症」を合併しているという報告もある。
小腸には本来、腸内細菌が1万個くらいしか生息していないのだが、胃酸の働きや小腸の機能の低下により、10倍もの数に異常増殖してしまう。
すると細菌が発酵し、ガスを生み出して小腸内がパンパンに膨れ上がる。いわゆる「ガス腹」の症状になるのだ。
「ガス腹」の他の症状として、胸やけや、嘔吐、皮膚の赤み、体重減少などを発症する場合もある。
この病気は、食生活によって引き起こされる部分が大きい。特にパンやパスタなどの小麦食品、砂糖の多い加工食品、炭酸飲料などの過剰摂取が影響していると指摘されている。
症状を改善するには、まずバランスのいい食事をとることや、間食を減らすことで、腸内環境を整えることが肝心だ。
また最近、腸内の環境を整えるため、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品や、食物繊維を多く含んだ野菜を摂取することで整腸効果があると言われているが、多量に摂取すると大腸の細菌が増殖して小腸に流れ込み「SIBO」を誘発するというから注意が必要だ。
お勧めは、整腸剤を習慣的に使用すること。1日3回摂取することで、ガス腹が解消したという人もいる。基本的に副作用もないため、気になる人は試してみては。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。