道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで10月29日に逮捕され、30日に釈放された俳優の伊藤健太郎の主演映画「十二単衣を着た悪魔」の公開記念舞台あいさつが11月7日、都内で行われた。
あいさつの冒頭、司会の笠井信輔アナは伊藤の欠席をアナウンスし、配給のキノフィルムズのコメントを代読。「様々なご意見があると思いますが、多くの方からメッセージをいただいたこと、大勢のキャスト・スタッフが長い時間をかけて尽力してきたことに対して報いたいという思いで配給会社として決断しました」と、主演俳優が逮捕される事件が起きる中、公開に踏み切った経緯を説明した。
そして、舞台あいさつに関しては「映画公開についてもそうであるように、映画を楽しみにしているお客様への機会を作ることが趣旨となりますので、これより先は、伊藤さんの件についてはお話を控えさせていただきます」とした。
監督を務めた黒木瞳や、女優の三吉彩花らはその後に登壇したが、配給会社のコメント通り、伊藤に関して触れることはいっさいなかった。
「主演俳優が何らかの事情で舞台あいさつに出席しなかったというケースは過去にもあるにはありますが、その場合は他の出演者やスタッフがフォローして、主人公の役柄などを語りますからね。今回のように主役の伊藤や彼が演じた役について、最初からなかったことのように全然語られないのはかなり違和感がありましたね」(映画ライター)
その伊藤は逮捕後に黒木監督と手紙や電話でやりとりし、号泣していたとも報じられている。黒木は伊藤をまるで我が子のように可愛がっており、伊藤が逮捕された直後には驚きや怒りの感情を見せたというが、その後、「1人で留置場にいるなんて涙が出るくらいかわいそう」と言うと、弁護士を通じて接見の要望も伝えていたのだというのだ。
そして伊藤が釈放されると、黒木は直接伊藤に電話をかけ、「こんなことを起こして良くなかった。あなたはダメですよ」と叱り、「これからのこともあるから、周りの人もいるから頑張っていこうね。私も応援します」と優しく諭し、伊藤は「すいません」を繰り返し、感謝の言葉も述べながら、受話器の向こうで大泣きしていたという。
まるで本当の母親のような、黒木から伊藤への愛情あふれる言葉だが、ネットでは黒木の言葉に対し「自分の責任で逮捕されたのに、かわいそうって…周囲のこうした甘やかしのせいで伊藤が勘違いしたのでは?」「かわいそうなのはひき逃げされた被害者だろ」といったものから、「ひき逃げして、戻ってきた事故現場でも悪びれる様子もなかったのに、かわいそうってどういう感覚?」と、伊藤について一部で報じられた、事故現場での態度についての報道を根拠にした指摘など、違和感を覚えたという批判的な意見が続々噴出している。
「さらには『実の子供も芸能界の子供も、育て方を間違えたな』という声も複数見られました。黒木については過去に『週刊文春』(12年8月30日号)で、『青学中等部「セレブ子女」いじめ主犯格は大物女優の娘』という見出しの記事が掲載されると、ネット上では黒木の娘ではないかと指摘される騒ぎがあった。ネット民の中にはその時の黒木さんのイメージと、今回の伊藤さんに関する発言を結びつける人も少なくなかったようですね」(芸能誌ライター)
「かわいそう」は黒木が伊藤に直接伝えた言葉ではないが、それでも黒木が伊藤のことを本当に息子のように思うなら、もっと違った、厳しい態度で接したほうが伊藤本人のためにはよかったのかもしれない。
(石見剣)