コロナ禍のせいとは言いたくないが、競馬の進みが早い。年だからと言われればうなずくほかないが、秋の東京開催は今週で幕。やはり早い。その掉尾を飾るのはジャパンカップだ。
天皇賞・秋で史上初の芝GI8勝を達成し、その後が注目されていたアーモンドアイが出走してくる。このレースがラストランとなるが、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみでならない。
この「女傑」が主役になるが「絶対」でないのは、出走各馬の顔ぶれから明らかだ。無敗のまま「三冠」を達成した3歳牡・牝のコントレイルとデアリングタクトが出走してくる。
そもそも、アーモンドアイが出走を表明する前は、この両馬が主役とみられていた。無敗馬対決は、どちらに軍配が上がるのか。これがファンにとって最大の関心事だったわけだ。
さらには、キセキ(菊花賞)、グローリーヴェイズ(香港ヴァーズ)、サートゥルナーリア(ホープフルS、皐月賞)、マカヒキ(ダービー)、ラヴズオンリーユー(オークス)、ワールドプレミア(菊花賞)といったGI勝ちの面々が満を持しており、いやがうえにも盛り上がるというもの。どんなドラマが待っているのか、まさにファン必見の一戦である。
それにしても、外国勢がウェイトゥパリス(GIサンクルー大賞)1頭というのは寂しい。招待競走であり、外国馬にとっては、アゴ足つきのおいしいレースでありながらである。日本勢のレベルがひと昔前に比べて格段に上がったとはいえ、施行時期を含め、いろいろ再考すべきであろう。
さて、馬券検討に入ろう。これだけハイレベルだと、人気どおり簡単な決着にはなりにくい。過去のデータでもそれがわかる。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は4回(馬連2回)だが、1番人気馬は6勝(2着3回)、2番人気馬は1勝(2着4回)のみ。1、2番人気馬のワンツー決着は2回しかなく、意外にもつれることが多いのだ。
近10年で見ると、3歳勢(3勝2着3回)の活躍が目立つようになってきており、充実ぶりが際立つ4歳勢(4勝2着3回)も地力にモノを言わせてよく連対を果たしている。
あとは、斤量が軽くなることもあり、牝馬(5勝2着3回)がよく頑張っている。2年前の覇者はアーモンドアイ、昨年の2着馬はカレンブーケドール。ともに当時は3歳の牝馬だ。今年は牝馬三冠のデアリングタクトがこの条件に当てはまり、ラヴズオンリーユーを含めた牝馬4頭からは目が離せまい。
アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトの「主役」が人気を分け合うことになるとみられるが、穴党としては、これではおもしろみがない。最も期待を寄せてみたいのは、グローリーヴェイズだ。
この馬も人気の一角だが、それでも評価は4、5番手といったところ。しかし、目下の充実ぶりは目をみはるものがある。以前はひ弱かっただけに、間を置いて大事に使われてきた。5歳とはいえ、今が「最盛期」と思わせるほど気配のよさが目立つのだ。
宝塚記念(17着)の大敗明けとあって不安視された前走の京都大賞典は、58キロの斤量を背負いながらの完勝劇。香港ヴァーズを完勝しただけのことはあり、地力が違っていた。
休み明けを使われたことで、この中間はさらに良化。稽古内容もすばらしく、厩舎関係者は「デビュー以来、最高の状態で臨めそう」と、仕上がりのよさを強調している。
曾祖母は史上初の牝馬三冠(当時は桜花賞、オークス、エリザベス女王杯)を達成したメジロラモーヌ。東京コースは初めてになるが、息の長い強烈な末脚が武器だけに向かないはずはない。「主役」を食うだけの下地は十分とみた。