わたくし的にはすっかり年末の恒例となった、殿が若手芸人のネタを判定する番組「ビートたけしの公開!お笑いオーディション」(TBS系)。その第3弾が、去年の12月23日深夜に生放送されました。番組の内容はいたってシンプル。芸人が次から次へと登場し、殿の前でネタを披露。が、殿がつまらないと思った瞬間、幕が閉められ強制終了。で、この番組が他のネタ番組と大きく違うところは、芸人が登場し、まだネタをやる前の挨拶段階でも、殿から「顔が貧乏くさい!」といった理由などで容赦なく幕を閉められ、ネタを披露することなく終わってしまうところです。
とにかく登場した瞬間、“殿の生理”に合わない芸人はそれだけでお役御免となってしまう、実に過酷なゴングショー的番組です。
で、殿がこの日、芸人たちに言い放ったコメントの一部をここに記します。
「バカ野郎! なめてんのか、この野郎!」
「こいつら、普通の官僚みたいな顔してんな。大丈夫か?」
「俺は悲しいよ。これを営業でやってみろ。怒られるぞ」
「ネタバレしてるじゃねーか!」
「どうして、こうブスを出すんだよ!」
「これじゃ、浅草にいる本物だよ!」
「お前か? 上○恵美子の悪口言ったの?」
「こいつは元共産党だろ」
この日、登場した芸人は約30組。殿はその全ての芸人に対し、幕を閉めては、時にツッコみ、時に批評し、時にお得意の“見立て”をガンガン炸裂させていました。弟子のわたくしが改めて言うのもあれですが、毎回、この番組で殿が芸人に言い放つコメントは、本当にキレッキレです。ちなみに、わたくし的にこの日いちばんの“ベストコメント&ベストシーン”といえば、ハリウッドザコシショウの芸を見るや、つい吹き出してしまった殿が、顔をくしゃくしゃにしながら「お前、やっぱりおもしろいわ」と言い放った瞬間です。
で、この番組は毎回、生放送終了後、殿がスタジオに集まった多くの芸人に対し、〆的な意味合いも兼ねて「お言葉」を述べるのが恒例なのですが、今回もやや照れながらマイクを持つと「え~、今日はお疲れ様でした」と、まずは小さな声であいさつを入れてから、しっかりと「たけしから若手芸人へ」といった内容の言葉を続けたのです。その一部、最後のくだりをどうぞ。
「私の周りにも、辞めていった芸人がいっぱいいます。続けられず、辞めていった芸人をいっぱい見てきました。きっと皆さんも今、大変な時期かもしれませんが、芸人でいられること、芸人としてやっていけることは本当に幸せなことなので、辞めないで、バイトでも何でもして、芸人を続けていってください。とにかく、辞めてしまったら終わりですから、頑張ってください。本日はどうもありがとうございました」
少し気が早いですが、今年も、年末が待ち遠しい限りです。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!