日本人の3人に1人は持っているという痔について久保田理事長が解説する。
「痔は、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう(あな痔)と3つありますが(上の図表参照)、いぼ痔の場合は、トイレが長い人がほとんどです。力まないと便は出ませんが、痔になる人はトイレに5分以上入っており、力む時間が長いのです。切れ痔は、便が硬い人や、頻繁に下痢をしている人が多くなります」
これから忘年会・新年会のシーズンとなるが、働き盛りで人間関係も円熟期を迎える50代ともなれば、その出席率も増えるだろう。急上昇する酒量が原因で痔が悪化することは多い。
「男性は、酒の飲みすぎで下痢している人が多く、下痢になり痔が悪くなるということがあります。下痢便が続くと、いぼ痔も、切れ痔も悪くなる。最悪の場合は、あな痔にもなります」(前出・久保田理事長)
予防措置としては、下痢を起こさない生活をすることが重要だ。
「形になる便が2~3日に1回起こるように調整していくことが重要です。下痢は体が、自分にとって有毒なものを早く出そうとしてなります。食中毒を考えるとわかりやすいのですが、腐ったものを、早く自分の体から出して自分を守らなければならないから下痢をするわけです。下痢をする食材は自分の体によくないということで、避けたほうがいいと考えます」(前出・久保田理事長)
日進月歩で進む医療技術だが、現在では痔の治療も格段に進化しているという。
「痔は痛みを伴わないのですが、痔による出血で貧血になるとか、排便のたびに出血するという問題があります。そうした場合、痔を取ったり、注射したりという処置をしたほうがいいです。以前は切ることしかできず痛みを伴いましたが、今では、苦痛を伴わない方法も開発されています」(前出・久保田理事長)
痔の最大の問題は出血ではなく、出血があるにもかかわらず痔だと思い込んでしまう自己診断だという。
「出血があった時には、大腸ガンになっている可能性があります。まずお医者さんに行くことが、いちばん重要です。2~3日で止まるようなものだったら別ですが、4~5日続くようなら必ず行きましょう。ガンであれば出血が続くことが多いですが、専門の先生が診れば、直腸ガンや肛門ガンではその場で診断できることもあります。指を入れてガンがあるという人もいますから」(前出・久保田理事長)
やっかいなのは、この出血が目に見えず便に潜んでいる状態だという。