日本プロ野球において、「振り逃げ満塁ホームラン」という珍事件が起きたことがあったのをご存知か…?ヤフー知恵袋に「過去にプロ野球で振り逃げ満塁本塁打があったって本当ですか?」といった質問があり、それに「本当です」答える書き込みがあった。
元プロ野球選手、高木豊氏のYouTubeチャンネル〈高木豊 Takagi Yutaka〉、昨年11月12日に〈【事件はいつも終盤に起きる!?】過去に起きた珍事件について語ります!〉とタイトルをつけ投稿した回で、その珍事件を高木氏が振り返った。
時は1960年7月19日、東映フライヤーズと大毎オリオンズの試合において、「3-1」の東映リードで迎えた8回表、ツーアウト満塁の場面だった。東映のピッチャー、故・土橋正幸氏の投じた第3ストライクを捕手が後逸したのだが、バッター、故・山内一弘(当時の名前は「和弘」)氏は見逃し三振に倒れ、一度はベンチに戻りかける…しかし、大毎の他の選手が一塁に走るように指示、結果、山内氏はダイヤモンドを1周し、満塁走者一掃の大逆転劇となったのだった。
生前の土橋氏にこの珍事件について訊いたことがあると言う高木氏は、「あの野郎、ボールを逸らしやがって」と、まずは捕手に対して土橋氏は鼻息が荒かったそうだ。バッターの山内氏があきらめてバッターボックスを離れようとした仕草に、東映のナインもベンチに戻っていたことから起きた稀有な事件なのだが、土橋氏の怒りは収まらず、「あの野郎さあ、ベンチに帰るフリしやがって一塁に走りやがったんだよな」と、高木氏が巻き舌で土橋氏の声色をマネて見せたのだった。
今は亡き土橋氏や山内氏に当時を振り返ってもらうことができない以上、土橋氏を知る高木氏を通じて、今回はまさに初耳でかつ貴重な言葉が拝聴できた。
ちなみにこの珍事件、記録としては「三振」「捕逸」であり、「振り逃げ満塁本塁打」とはならないそうなので念のため…。
(ユーチューブライター・所ひで)