皐月賞まで連続して行われるGI戦。先週の高松宮記念に続く、その第2弾は大阪杯だ。
登録数は15頭とフルゲートに満たないものの、顔ぶれはなかなか。GI勝ち馬は6頭だが、なんといっても焦点となるのは、今年初出走となる昨年の三冠馬コントレイルと、GI4勝の女傑グランアレグリアの初対決だろう。
コントレイルは距離にまったく問題はないが、グランアレグリアは初の2000メートル戦。しかも1800メートルも未経験だけに、前走から距離が一気に2ハロン延びてどうか。これはファンとしても気になるところだろう。
答えを導き出す前に、まずはこのGI戦の傾向を見てみよう。
GIに昇格して今年で5年目。定量戦(4歳上57キロ、牝馬は2キロ減)になったものの、阪神芝2000メートルの舞台は同じである。それゆえ、大きな変化はなく、比較的本命サイドの堅いGI戦と言ってよさそうだ。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は3回のみ(馬連は1回)。この間、1番人気馬は8勝(2着4回)、2番人気馬は3勝(2着3回)。しかし、1、2番人気馬のワンツー決着は2回のみで、2番人気馬が意外に結果を出せずに苦戦していることがわかる。1番人気から、やや人気薄に流すのが馬券的な筋と言えるだろう。
年齢的には、これからピークを迎えるであろう4歳馬が強く、9勝(2着6回)をあげている(このうち牝馬は1勝、2着1回)。これに続くのが充実著しい5歳馬で7勝(2着5回)。6歳以上の古豪よりも勢いを増す4、5歳馬が圧倒的ということは銘記しておいた方がいいようだ。
牝馬によるワンツー決着は、昨年の勝ち馬ラッキーライラックと2着クロノジェネシスの1回のみだが、昨今の牝馬の強さを思えば、グランアレグリアはもちろんのこと、5戦負けなしのレイパパレの動向も目が離せまい。
それでは本題に。グランアレグリアがどうしてここへ、ということだが、オーナーサイドの意向や藤沢和調教師の判断以上に、名手ルメール騎手の進言が大きかったようだ。ルメール騎手いわく「距離は問題ないとみたい。試してみる価値は十分」というもの。
なるほど、折り合い面に不安が残る馬ではなく、母は米GI2勝の名マイラー。父ディープインパクトは、周知のように長丁場を問題にしなかった三冠馬。であるなら距離克服は可能とみるべきである。
ただ、コントレイルとの比較においては、やや分が悪いとみるのが妥当か。
コントレイルは、とにもかくにも順調。「体がしっかりして、成長がうかがえる。古馬らしく貫禄が出た」と、矢作調教師をはじめ、厩舎スタッフが充実ぶりを強調するほど。ならば常識的には、この馬から2着探しとみるのが馬券戦術の筋ではなかろうか。
穴党だけにコントレイル本命では叱られそうだが、2着候補の中で穴っぽいとニラんでいるのは、カデナだ。
2カ月ぶりの実戦となった前々走の中山金杯は、トップハンデ(58キロ)を背負って11着。ひと息入れ、立て直しを図ったので体調はよくなっていたが、本来の姿には戻り切ってはおらず、息がもたなかった。
が、そこは実力派。一度使ったあとの前走、小倉大賞典は、最後方に近い位置からすさまじい末脚で追い上げ、勝ち馬とコンマ5秒差の6着。力のあるところを見せつけた。
その後は、ここを目標にいたって順調。「本来の姿に戻ってきた。相性のいい阪神なら」と、厩舎関係者は期待を口にする。
昨年の大阪杯は展開不利の中、差のない4着。母系は欧米のGI血脈だけに、大駆けがあっていい。