元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
「フザけんなー!!」
そんな声が各方面から聞こえてきます。緊急事態宣言、再びの延長ですか。いや、大概にしてほしいのを通り越し、むしろ国民は不感症になる寸前なのではないでしょうか(特に若者)。今回の延長、生活が困窮している家庭への支援は打ち出しましたが、飲食店に対する「取り締まり規制」は依然として続行なのでしょうか。4人以上の飲食はダメ? アルコールの提供はナシ? 感染者数が増えたのはお酒を飲んだ人、またはお酒を提供した人たちのせい。感染者数が減ったのはお酒を飲む人が減ったせい。そんなイメージを無理やり植えつけたいような印象を受けます。
第2次緊急事態宣言が発令された初春。「カフェ・ラ・ボエム」や「権八」などの飲食店を展開するグローバルダイニング社は、時短要請には従わない、として施設使用制限命令を発出した東京都を訴えました。そして平常通りの営業。さらに、この5月の第3次緊急事態宣言下。今度は東京都が、休業命令と時短営業、酒類販売停止の命令に従わない33店舗を吊し上げましたが、そのうち23店舗がグローバルダイニングの店舗でした。ちょっとどうかと思いますね。
まず、都に能がない。3分の2以上が同じ店舗って、他は洗ってないんですか。知る限りでは、結構な数のお店がお酒を出しています。中でも小さな個人店、ひとりで運営していて元から売り上げは日に数万円がいいところの飲み屋、要請に従っているテイでお酒を出している店舗は多いです。また、飲食の免許を要しているだけで実店舗のないお店が、休業・営業短縮協力に関する支援金を申請。日に日にコロナ飲食支援金で膨らんでいくお店がある一方で、要請に真面目に従う店舗、中でも流行っていた大型店舗ほど体力がなくなり、潰れる寸前、はたまた、潰れています。
これはもう都とグローバルダイニングの痴話ゲンカです。グローバルダイニングも国民民主党・山尾志桜里議員と不倫疑惑のある倉持麟太郎弁護士を雇って、よくわからない闘いを仕掛けてしまいました。しかも一回目の反発でマスコミに声明文まで出し、政府批判をしてしまった。ファイティングポーズを取ったら、相手だって構えてしまいます。とりわけ女帝、小池都知事でしょう。アナタ、私にケンカ売ったらどうなるかわかってんの、と。グローバル側にしたら決死の覚悟かもしれませんが、あたかも離婚調停の極み。家庭内で和解ができず、弁護士を入れて家裁で争うステージです。
思えば今年初頭、緊急事態宣言の一件を書きました。その際に現職議員を直撃すると「西村大臣が(緊急事態宣言の方向へ)転がっちゃったんだからしょうがない」と。やっぱりまだ、転がっているんだ‥‥。
反面、徹底的に闘うグローバルダイニングの姿勢を支持する人も大勢おります。しかも同じ飲食関係の人だけでなく、さる現職区議も「グローバルは徹底的に闘えばいいんだよ」と呟いていました。
元を正せば、お酒禁止を最初に打ち出したのは菅政権です。アルコールをスケープゴートにして、五輪開催を実現する模様。そこまで逃げ切るつもりでしょうか。これがホントの「逃げ恥」‥‥。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。