水原希子は「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」(17年/東宝)で、脱がずにヒップの魅惑を伝えている。映画評論家の前田有一氏によれば、この映画の大根仁監督が“水原のヒップがいい”とやたら強調し、水原はヒップを「突き出せ!」と演技指導されたという。脱ぎはないが、ヒップ好きに向けて作られた映画だそうで、カメラも「ピントが人の目ではなく」ヒップに向けられていたほどだという。
舞台は雑誌の編集部。水原がデスクに両手をついて向こうの部員と話すシーンでも、カメラは後ろからしっかりとヒップを捉えているのである。「劇中の主人公も観客も、皆が魅了されてしまいます。わざとらしく腰を振っても嫌味に見えないのが水原のよさでしょう。元来はモデルであり、インスタグラムなどでも脱ぎたがりの様子がわかり、見て見てという自意識は強いでしょうから、見てあげるのが礼儀」と話す前田氏によれば、痩せているわりに、ヒップだけは肉が付いているとも指摘する。
さて、カンヌ国際映画祭でみごとにパルム・ドールを獲得した作品にも、ヒップ好きにとって見逃せないシーンがあった。
「万引き家族」(18年/ギャガ)に登場した安藤サクラである。キャミソール姿で過ごす、居間での日常風景。真っ昼間から夫役のリリー・フランキーと性的欲望を満たすために情交を開始する。「真夏のシーンで扇風機が回っていて、けだるさと作業のように“交尾”をする夫婦間のリアリティーが伝わってくる」と話す芸能ジャーナリストの佐々木博之氏によれば、「本当に生々しい」ヒップで、「ボリュームもあって『こういう奥さんいるな』とつい見入ってしまいます」とのことだ。
最後に、14年公開の「海を感じる時」(ファントム・フィルム)では、市川由衣がフル脱ぎと激しいベッドシーンを披露。しかし、注目されるのはお風呂シーンにある。「肩から上を撮影すればいいところをわざわざ背後から全身を見せてくれます」と話す前出・前田氏によれば、初めて脱いだ、無防備な市川のヒップが拝めるという。パーツのアップでつなげば、スタイルが悪かろうがわからないという撮り方もできるが、グラドルをしていた雰囲気のまま、若くてきれいなヒップを見せてくれたことに「感謝」だと振り返る。また、「寝ていれば誰しもきれいに見せることができるのですが、立ち姿でも勝負できる女性はわずかですからね」とも指摘した。
銀幕の中で生ヒップが映像に収められていくことは、その時代を映し、“至宝”を残していく作業でもあるのだろう。