近鉄で活躍した元プロ野球選手・鈴木啓示氏といえば、最多勝利3回、最優秀防御率1回、最多奪三振8回など数多くのタイトルに輝き、プロ通算317勝は日本プロ野球歴代4位の偉業である。
その鈴木氏が、日本プロ野球名球会が運営する公式のYouTubeチャンネル〈日本プロ野球名球会チャンネル〉に出演。鈴木氏にとって「あこがれの存在」だった、日本プロ野球記録となる通算400勝投手の故・金田正一氏との初めての出会いを振り返り、プロの洗礼を受けるといった貴重なエピソードが明かされた。
同チャンネルの6月13日付け投稿回〈プロの厳しさを知った金田正一の言葉とは!?【最後の300勝投手 鈴木啓示】<日本プロ野球名球会>〉を観ると、1年目からオールスターゲームに出場した鈴木氏は、同じく出場していた金田氏に、「ボク、直球しか投げられないんですけど、カーブの投げ方を教えてもらえませんか?」と志願したという。すると、「オレとお前はプロ野球の選手やねん。教えてもらいたかったら授業料持ってきなさい!」と突っ返されたのだとか。
「この世界は教えてもらえる世界じゃないんだ、自分でつかまないといけないんだ」と、目が覚めたという鈴木氏はその晩、合宿所に戻ると、外野のフェンスに、金田氏の似顔絵を白墨で描き、「この野郎!」とその顔めがけてカーブを投げ込み練習したのだという。その甲斐あってか、1年目に10勝、2年からは5年連続で20勝以上をあげる活躍ぶりを見せることができたのだった。
当時は金田氏のことを「ケチな人」「ファン辞めたわ!」と感じたそうだが、その反骨精神がプラスに向いて300勝投手に成り得たのであろう。1960年代のプロ野球界の熱気が伝わってくるような見ごたえのある回であった。
(ユーチューブライター・所ひで)