「沢村栄治賞」、通称「沢村賞」は、戦前のプロ野球界で史上初の最多勝利を獲得し、NPB史上初の最高殊勲選手(MVP)も受賞した故・沢村栄治さんの功績と栄誉を称えて設立された由緒ある賞である。その年のNPBにおいて最も活躍した完投型先発投手を対象として贈られる特別賞の1つであり、その年1番のピッチャーを称える賞だと言えるだろう。ところが、その「沢村賞」を「ピッチャーの1番ではない」と持論を述べる人がいた。1995年、ドラフト1位で福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)に入団し、2003年と06年に最多勝利のタイトルを獲り、沢村賞を受賞した元プロ野球選手の斉藤和巳氏である。
プロ野球のOB1300人が所属している「プロ野球OBクラブ」のYouTubeチャンネル〈プロ野球OBクラブチャンネル〉に斎藤氏が出演した7月9日付け投稿回〈【わかって欲しい】沢村賞を二度獲った斉藤和巳が語る、沢村賞が投手1番の賞ではない理由〉を観ると、「沢村賞ってね、ピッチャーの1番の賞って言われてますけど、これは先発ピッチャーだけの賞なので、ピッチャーの1番の賞じゃないんで」と斉藤氏は強調する。
ピッチャーにはリリーフ、中継ぎもいるが、そこは評価対象から外されており、ピッチャー全体の中で賞されるMLBの「サイヤング賞」とは違うと指摘。マウンドに上がったすべての試合で完投できるわけではなく、リリーフがいて勝ち星を拾えていることが多々あることから、「1人でも多くの人に早く理解していただきたい。リリーフに申し訳ない」と謙虚に述べる斉藤氏だった。
06年の斉藤氏は、1981年の江川卓氏以来となる、2リーグ分立後4人目の投手五冠王を達成している。そんな斉藤氏だからこその、含蓄ある言葉が拝聴できる見ごたえのある回だった。
(ユーチューブライター・所ひで)