先週に続き、今週も日曜日に行われる重賞は、函館のクイーンSのみ。本来、札幌で行われる重賞だが、今年はオリンピック開催中とあっての場所替わり。とはいえ、同じ洋芝の1800メートル戦。これまでと条件はほぼ同じとみていい。
例年同様、頭数はそう多くないが、悪い顔ぶれではない。GI勝ち馬はいないが、そうしたビッグレースで上位争いを演じてきた馬は何頭かいる。
斤量が軽いこともあり、善戦することが多い3歳馬(ほぼ52キロ)の参戦が、今のところ見られないのは残念だが、脈のある4歳勢が最も多く名を連ねているのはうれしいかぎり。
まずはデータをひもといてみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単による万馬券は7回(馬連では3回)。この間、1番人気馬は5勝(2着6回)、2番人気馬も5勝(2着1回)。中穴傾向の重賞とみてよさそうだが、1、2番人気馬によるワンツー決着は、わずか1回。決して簡単に収まるレースでないことだけは確かだ。
年齢的には他の重賞同様、生きのいい4歳馬、充実著しい5歳馬が強く、4歳馬は8勝(2着7回)、5歳馬が3勝(2着10回)。まずはこの両世代を無視しては始まらないのだが、仮に3歳馬が出走してくれば要警戒。出走頭数が少ないわりに5勝(2着2回)と好成績をあげているからだ。
とはいえ今回は4、5歳馬が大半を占めている。両世代によるガチンコ勝負とみて、差し支えなかろう。
ただ、有力馬の力量が拮抗しており、どの馬が上位争いを演じるのかをあぶり出すのは、容易ではない。常識的には実績からマジックキャッスル、ドナアトラエンテの国枝厩舎勢に、ルメール騎手とコンビを組むテルツェット、そしてクラヴァシュドールにフェアリーポルカといった馬から入るべきなのだろう。
しかし穴党として期待を寄せたいのは、5歳馬のシゲルピンクダイヤだ。
勝ち鞍は未勝利戦の1つのみ。以来、15戦連続で勝ちきれておらず、チューリップ賞2着、桜花賞でも2着した3歳時の勢いは失せた印象だが、そうみられているのなら穴党としては幸いである。徐々にではあるが、間違いなく本来の姿を取り戻しつつあるのだ。
前走のGIヴィクトリアMは13番人気ながら、見せ場を作っての5着と頑張ってみせた。その後は放牧でリフレッシュ。ここに向けてしっかりと調整、稽古をたっぷりと積んできた。
栗東トレセンでは坂路を中心に乗り込まれ、1週前の追い切りは、ウッドチップコースで長めからビッシリと追われ、好時計をハジき出している。
渡辺薫調教師をはじめ、厩舎関係者が「ここを目標に抜かりなく調整ができた。実にいい雰囲気。力を出せる状態にある」と口をそろえるように、最近では最もいい仕上がりにあるのではないか。
力を要す北海道の洋芝は初めてになるが、力強い走りをする馬で、不向きではないはず。血統的には近親にグレイスワロー(愛ダービー、タタソールズゴールドC)など活躍馬が多くいる血筋。2勝目をあげるとともに、初重賞制覇のチャンスとみた。
出否は未定ながら、最も魅力的な穴馬がイカットだ。2勝クラス(かもめ島特別)を勝ち上がったばかりだが、ポテンシャルは高く、早くから厩舎では期待されていた素質馬。洋芝は〈3 0 1 1〉と実績十分で、決して軽く見るべきではない。
兄に北米GI4勝のタービュラントディセント(バレリーナSなど)がいる良血馬。使われつつ地力強化しており、一発があっても不思議はない。