許されざる情愛ほど男女をたぎらすものはない。だからこそ、作中で描かれる不貞情交は軒並みヒートアップする。ハンパない絶頂シーン5選を以下─。
“不貞相手キャラ”で知られる橋本マナミが、逆に情夫を囲ってしまう。アンビバレントな場面が拝めるのが「光」(17年、ファントム・フィルム)だ。
橋本は夫を兄と慕う年下男性、永山瑛太と関係を持ってしまう。安アパートの一室で、音を立てて永山の胸の先端を吸う橋本が、イチモツに唇を寄せると、よりいやらしい音が室内に響く。辛抱たまらなくなった永山は、荒々しく抱きしめる。橋本のGバストが押しつぶされると、側位で後ろから男性自身を深々と突き立てていくのだ。性サービス業に詳しいライターのジャンキー伊藤氏によると、これは、「通称『横バック』、江戸四十八手では『窓の月』と呼ばれる」体勢だという。「男女ともに体への負担が少なく」性的興奮を起こしやすいスポットを刺激するのに「最適とされています」とのことだ。
快感のツボにハマッたのか、橋本の顔はみるみる紅潮し、ピクンピクンと悶えまくる。自分から背後に顔を向けてキス。唇が離れると、舌なめずりまでしてみせる。忘我の境地で理性が吹っ飛んでしまったかのようだった。
理性をかなぐり捨てたのは清水美沙も同じだ。映画「うなぎ」(97年、松竹)で、同居する母が在宅中だというのに、情夫の田口トモロヲを連れ込み、情事にふける。芸能ライターが解説する。
「正常位での激しい突き刺しに、清水はアエギ声を漏らすのですが、母に聞かれまいと口にシーツを噛んで耐え忍ぶんです。ところが、田口は大人の夜の玩具を取り出して、ブスっと挿し込む。清水は全身を震わせ、アエギ声は高まってしまう。自らキスをして、口をふさぐのです。それでも響いているブーンというオモチャの振動音がリアルで忘れがたいものがあります」
たった1回しかベッドシーンを演じていないが、秋野暢子が見せた「片翼だけの天使」(86年、ヘラルド・エース)での濃密シーンも忘れがたい。夫を持つ韓国人泡姫の秋野は、客として訪れた作家役の二谷英明にサービスを繰り出す。
「とはいえ、本職としては失格です。二谷の精を吐き出させるよりも、秋野のほうが快楽に溺れ、イカされてしまうんですから」と話す前出のジャンキー伊藤氏によれば、「ただ、」と前置きして、上に下にと激しいカラミで絶叫してイキ果てる秋野を見ると、自分もいつか泡姫をイカせてみたいと思ってしまうという。
女優がイクには、その相手役も重要。昭和の俳優には情交シーンの達人がいた。
「鬼籍に入られましたが」と話す前出の沖氏によると、緒形拳がベッドシーンで見せる熟練テクは凄まじいという。「いったい何人の女優がイカされたことか…(沖氏)とのことだ。そのテクを学びたいなら、「火宅の人」(86年、東映)と「櫂」(85年、東映)をジックリと鑑賞すべき。
緒形は「火宅の人」で原田美枝子を不貞相手にして、ねちっこく責めたてる。足指をペロリと舐めると、思わず原田は「こっちへ来てください」と哀願。それに応えて今度はバストトップに吸いつき、転がして執拗に愛撫。秘所も責めたてると、原田は首を左右に何度も振って「アッ」と短くアエぐと体を弓なりにして昇天。ガクッと力が抜けたようにベッドに横たわるのだった。
また「櫂」では、元女義太夫の真行寺君枝を妾にする緒形。女衒という役どころだけに、まるで物を扱うように真行寺を弄ぶ。キスからバストを揉みしだき、秘部を口責め。2分間に及ぶ愛撫に、真行寺も「こうしてるだけで…」と息も絶え絶えに。縁側から頭が落ちてもお構いなし、庭の砂利に頭を擦りつけながら真行寺は感じ入る。これぞ絶頂極致と呼べるシーンであった。
不貞というシチュエーションだけではオンナをイカせることはできない─。名優・緒形はそう言っているようだ。