80年代以降、女子アナのアイドル化は大きな潮流となった。とはいえ、根底に「アナウンス技術」が備わっていてこそ、その実力を正しく判断できるというものだ‥‥。
女子アナ評論家の丸山大次郎氏は、やはりNHKの和久田麻由子アナ(33)を筆頭に推す。
「これまで『おはよう日本』『ニュースウオッチ9』『五輪キャスター』『紅白司会』と、NHKの花形番組をほぼ担当しきった。昨年から担当する『ニュースウオッチ9』は、番組のイニシアティブを取り、本当のメインキャスターに昇り詰めたという感じです。押しも押されもせぬ看板アナだと思います」
特に今夏の東京五輪は開会式を担当し、その落ち着いた実況は高く評価された。
「さらに紅白では事実上の総合司会も射止めて、文句ナシのアワード大賞でしょう」(丸山氏)
これに対して民放勢はどうか。まず、日本テレビの水卜麻美アナ(34)は、年明けの「理想の上司ランキング」で5連覇を達成するなど、人気は衰えず。丸山氏が分析する。
「女子アナ界における不動のトップですが、その存在感は相変わらず高い。21年は『ZIP!』の総合司会となり、たぶん、日テレの朝番組で女子アナが総合司会になったことはないはずで、彼女が初の栄誉。さらに『オールナイトニッポン0』(ニッポン放送)でパーソナリティを経験し、局の看板である『24時間テレビ』も司会と、八面六臂の活躍を続けています」
ぽっちゃりアナに光を当てたという面でも讃えられる。テレビ朝日では、あざといだけじゃない弘中綾香アナ(30)がお立ち台だ。丸山氏が続ける。
「1年でフォトエッセイと写真集の連続発売って、もう局アナの歴史でいないんじゃないでしょうか。なんというか『女子アナの枠を超えた』という革新的な路線でブレイクしましたが、ブレずに活躍し続けているなと感心します」
メインのレギュラー番組も「激レアさんを連れてきた。」「ノブナカなんなん」「あざとくて何が悪いの?」と目白押し。
「いずれも弘中アナの個性を120%生かせる番組ばかりで、発言がいろいろメディアに取り上げられるため、まだまだ注目度は落ちないだろうと思います」(丸山氏)
弘中アナが、いかに従来の女子アナと違うかを証明したのが、2月に放送された「太田伯山ウイカの『はなつまみ』」だ。芸能評論家の織田祐二氏が明かす。
「弘中アナは、番組がリニューアルする時に上司と『弘中が必要ですか』って話になったそうです。そこで上司に『私が一極集中でやっていくと、数年後は誰がやるんですか。後輩を育てないと会社としてよくないですよね』と迫ったんです。会議で口にして、番組でしっかり話す弘中アナがいて、それを流すテレ朝がある。テレ朝改革の象徴的シーンでした」
フジテレビでは、永島優美アナ(30)が、絶対エースの称号を得ている。アイドル評論家の小谷哲氏が言う。
「今年3月3日に局の1年先輩と結婚しましたが、3月29日からは新番組『めざまし8』の初代総合司会を任されるなど、揺るぎないエースぶり。さらに、これまで担当していた『めざましテレビ』の後任の井上清華アナ(26)も、永島アナに刺激を受けて成長が著しいですね」
最後は、遅咲きの花となったTBSの江藤愛アナ(36)だ。
「レギュラーの『ひるおび!』を残しながら、『THE TIME,』で朝復帰。そして『CDTV』や『バナナマンのせっかくグルメ』のナレーションと、36歳でこれだけ多岐にわたる番組で第一線に居続ける民放アナウンサーは、今、見当たらないでしょう」(丸山氏)
今春には、課長職にあたる「エキスパート特任職トップスペシャリスト」に異例の昇進となるが、
「いい人がにじみ出ている圧倒的な好感度で、アナウンス力もかなりの実力であり、天然ボケでキャラも意外に立っているという、完璧超人みたいな人ですね」(丸山氏)
女子アナ黄金時代はまだまだ盤石である。