広島、巨人で活躍した元プロ野球選手・川口和久氏。1980年、ドラフト1位で広島入団。3年目の83年に初の2ケタ勝利となる15勝をあげた川口氏だが、84年8勝、85年9勝と1ケタ勝利に甘んじた。しかし、翌86年からは6年連続で2ケタ勝利する目覚ましい活躍を見せており、この間に3度(87年、89年、91年)、最多奪三振のタイトルに輝いている。
その川口氏が、プロ野球のOBが1300人所属している「プロ野球OBクラブ」のYouTubeチャンネル〈プロ野球OBクラブチャンネル〉に出演。86年からの躍進は、あのレジェンド左腕のアドバイスがあったことを明かしている(11月17日付け投稿回)。
その人とは、セ・パ5球団を経験し、68年には、1シーズン「403奪三振」の、未だに破られぬ日本プロ野球最高をマークした元プロ野球選手、江夏豊氏である。
江夏氏は84年シーズンを限りに、西武ライオンズ時代で現役を引退。川口氏に指南したのは、その後、偶然、居合わせた広島市民球場近くの喫茶店でのことだったという。
川口氏は当時を振り返り、江夏氏から、
「右打者のアウトコースにコントロールできるか?」
そう問われたそうだ。左腕らしく、右打者へのクロスファイアを持ち味としていた川口氏だが、「カウント球は何だ?」と問われると返す言葉もなく、「アウトコースに出し入れできたら、ピッチングが簡単になるんだよ。キミにそれがないから、苦しんでるんだよ…」との江夏氏の言葉を信じ、1カ月のあいだ2軍で猛練習。アウトローのコツをつかみ、1軍に復帰してからは勝ち星を量産したようだ。
江夏氏の言葉を「神の言葉」とも称した川口氏にとって、「神様、仏様、江夏様」だったであろう、貴重な秘話を拝聴できた。
(ユーチューブライター・所ひで)