テリー 自分が書いた小説が映画になるなんて夢みたいな話だよね。話が来た時はどう思ったの?
つぶやき これ、文庫は11月に出たばっかりなんですけど、単行本が出たのはもう5年前ですから、「なんでこんなに時間がたってから?」と思いましたね。もちろん、映画になることは、もっと前に決まってたんでしょうけど。
テリー いいねぇ、相変わらずネガティブで(笑)。
つぶやき しかも、売れた本が映画化されるならわかりますけど、売れてもいないのにどうしたんだろうなと。いろいろ企画がボツになったけど、何か映画を作らなきゃいけないから、この本を選んだのかなと思いましたね。
テリー でも、これを映画化しようと考えた監督なりプロデューサーなりは、スゴい優秀だと思うな。ちょっとスケール感は違うけど、「タンポポ」とか「マルサの女」とか、俺は伊丹十三さんの映画を思い出したけど。
つぶやき あ、そうですか。
テリー あと、ちゃんと原作にリスペクトもあって、すごく原作に忠実に作ってるよね。キャスティングも、特に主人公の伊澤春男なんて、つぶやきさんが安田顕さんをイメージして書いたのかって思うぐらいハマってたし。
つぶやき あ、そうなんですね。見てないんで、なんとも言えないんですけど‥‥。
テリー 見て来いよ!(笑)
つぶやき あぁ、すみません。今日は逆にテリーさんに映画のことを教えてもらおうかなと。それを他の取材の時に話そうかなって。
テリー ダメだよ(笑)。でもさ、小説を書く時って、自分の知ってる人をイメージしたほうが書きやすいでしょう。物語の舞台も詳しく知ってる場所じゃないと書けないだろうしさ。
つぶやき 登場人物は具体的に誰かをイメージして書いたってことはなかったんですけど、スーパーは自分が行ったことがあるけど実際に働いたことはなくて、「何となくこんな感じだろうな」っていうのはありました。
テリー そうだよね。
つぶやき だから、出来上がったパンフレットや写真を見せてもらった時は、「あ、こういう風景になったんだ」って思いましたし。2人だけの会話を書いたシーンだと、「その後ろで立ってる人はこういう表情してるんだ」とかも思ったりしました。
テリー 小説では読者の想像に任せる部分も、映像化する時はちゃんと決めて撮らなきゃいけないからね。
つぶやき 家のどこに何が置いてあるとかも、自分の思い描いてたのとは違ったりして、「あぁ、そうか。映画ではこうなったんだ」って、答え合わせをするみたいな感じは新鮮でしたね。
テリー もう次回作なんてのも考えてるの?
つぶやき いや、何も考えてないです。
テリー もったいないじゃん。今回はかなり等身大だったから、次はもっとスケールの大きな話を書いてみるとかは?
つぶやき いやぁ、ミステリーとか、すごい事件が起こる話なんて全然書ける気がしないです。文章力も追いつかないですし。なんの変哲もない日常を生きる中年男の心の内というか、そういう機微をつないで書くのが精一杯で。
テリー そうかなぁ。又吉(直樹)とかバカリズムみたいになれると思うけど。
つぶやき またテリーさん、やめてくださいよ。絶対なれるわけないです!