浜名湖ボート場は全長553メートル、横幅180メートルの広大な水面である。いつもは2カ所の水門から湖水が流れ込むが、開催中は水門が閉じられて水の流れの影響はない。だが、広大な水面だけに風を受けやすく、これが選手を悩ませる。
昨年1月の59周年記念の時も、シリーズを通じて風速3メートルから6メートルの風が吹き荒れた。そして実はその強風下、予選・準優で1着4本を獲り、万舟2本の大穴をあけ、優勝戦でも2着に健闘した伏兵がいた。岡山の吉田弘文である。
まず吉田は昨年1月12日第11R。風速3メートルの右横風をついて大外一気に湯川浩司らをまくり差し、3連単2万8810円の主役に躍り出た。14日第12R。今度は風速6メートルの追い風を背に受けながら、2コースから辻栄蔵を差し切り、山崎智也らを着外に沈めて1万5110円の穴をあけた。
優勝戦も5メートルの追い風の中、2コースからコンマ07のスタートを決め、峰竜太を猛然と追いかけた。あの追撃にも風を恐れない果敢さがよく表れていた。
あれからほぼ1年の月日が流れ、今年も1月21日【火】~26日【日】に「浜名湖60周年」が開催される。間違いなく今回も右横風、あるいは強い追い風が吹く。リベンジを胸に吉田が急旋回一発、波乱を巻き起こすだろう。
なお、吉田の次走は2月6日~11日の「九州地区選手権」となっている。
◆ボートレース評論家・水上 周
◆アサヒ芸能1/21発売(1/30号)より