そして、2日目にリーサル・ウェポンとしてお披露目されたのが、約500万円で導入されたバーチャル打撃マシン「ユーティリティーエース」だ。
「マシンの映像は阪神・藤浪晋太郎(27)、ソフトバンク・モイネロ(26)、新庄監督自身の3パターン。ランディ・ジョンソンも入れたかったそうですが、肖像権の問題で断念したとか。昨シーズンの対チーム打率1割台で攻略がマストのモイネロはともかく、藤浪が選ばれたのは監督曰く『藤浪君のような荒れ球のインコースを意識しながら踏み込んで打てれば、どんなピッチャーでも打てる』と、恐怖心を克服させるため。話題性込みの新庄監督の映像も実は実戦向き。投げ終わってないのに球が出てくるため、ソフトバンク・和田毅(40)のような腕が遅れて出てくる投手への対策でしょう」(民放局ディレクター)
正月恒例の「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」(テレビ朝日系)の人気企画「リアル野球BAN対決」で使われるのと同じもので、プロ仕様にひと工夫改良が加えられた優れものである。
「とはいえ、第1クールから145キロの直球を課していますから、まだ流し運転の時期には打てませんよ。みんな、バンバン空振りやファウルチップを繰り返していた。そうせざるをえないのは、いかに現時点でチームのレベルが低いか。技術や力がないのであれば、上に行くにはまず意識を高めるしかないというわけです。新庄監督は楽しく伝えていますが、野球に関しては真面目で、手を抜いていれば、すぐに本質を見抜いて厳しくなると思います」(スポーツ紙デスク)
守備でも新庄監督のアイデア特訓が実施された。本塁付近から左翼ファウルゾーンに向けて、途中約3メートルの高さに設置された直径80センチのフラフープを通して送球するもの。先の伊原氏は「おそらく球界初の練習法でしょう」と感心して続ける。
「アマチュア時代から口酸っぱく『カットマンの胸に投げろ』と指導されますが、頭上もしくはワンバウンドするような悪送球をしてしまいがちです。視覚的に見える目標を設置して、外野手全員に理想の送球を共通認識させる狙いがある。意外にプロでもクリアできる選手は少ない」
事実、キャンプ2日目で成功したのは、BIG組の野手十数人中、五十幡亮汰(23)と野村佑希(21)の2人のみ。攻守ともに、まだまだレベルアップが必要なことを知らしめたのだった。