すっかり春めいてきたが、スギ花粉のただ中、しばらく憂鬱な日々が続きそうだ。加えて、なんとも悩ましい重賞が今週、中山のメインとして行われる。中山牝馬Sが、それだ。
牝馬同士によるハンデ戦。ここを最後に繁殖に上がる馬もいて、なかなか中心視すべき馬を絞りづらい難解な一戦である。
なので、よく荒れる。そもそもハンデ戦は順当に収まりにくいものだが、牝馬のそれはいっそう難しい。
馬単が導入されて以降の過去19年間、その馬単による万馬券は9回(馬連では6回)。この間、1番人気馬は3勝(2着2回)のみで、2番人気馬においては勝ち馬はおらず、2着が3回。1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみ。
荒れて当たり前! 人気サイドによる穏やかな配当は期待しないほうがよさそうだ。
ということで穴党の出番である。まず過去19年間のデータから馬券の傾向をしっかりと把握しておこう。
年齢的には他の重賞と同じく4、5歳馬がよく連対している。4歳馬が5勝(2着7回)、5歳馬が9勝(2着6回)というもの。それだけ出走頭数が多いということでもあるが、その割合を思うと6歳馬の4勝(2着6回)は特筆すべきかもしれない。
ハンデはどうだろう。牝馬が57キロ以上を背負うことはめったにないが、それでも実績ある力量馬はおおむね善戦しており、54~56キロの馬が圧倒的に連対を果たしている。このへんは頭に入れておくべきだろう。
とはいえ、穴をあけるのは、やはり軽ハンデ馬が多い。53キロを背負う馬を実績馬とみるか否かは微妙だが、この53キロの馬が最も多く6勝をあげていることは、やはりハンデの妙。おもしろいところである。
今年も顔ぶれは多彩で、簡単には決まりそうにない。悩むところだが、最も期待を寄せてみたいのは、クールキャットである。
前走の愛知杯は6着に敗れたが、勝ち馬との差はコンマ4秒だったことを思うと、決して悪い内容ではなかった。しかも、3カ月ぶりの実戦で重め残りの状態(前走比プラス14キロ)。使われての変わり身が見込まれていいわけだ。
実際、1週目の追い切りは軽快でリズミカル。文句なしだった。
雰囲気のよさに奥村武調教師も「心身ともにたくましくなってきた。息遣い、毛ヅヤがよく、最近では一番のデキではないか。前走はもまれながら悪い内容ではなく、復調してきたと言っていい。前々で器用に競馬ができる馬。中山の芝1800メートルは合うと思う」と、満足げに話してくれた。
昨春のサンスポ賞フローラSを勝ったあとのオークスでは、穴人気(6番人気)に支持されたほどの馬。ハンデは恐らく前走同様の53キロ。前述したように最も勝利を収めている斤量でもある。ここは走れる条件がそろっており、中心視していいのではないか。
逆転候補として挙げたいのは、スライリーだ。
こちらは抽選対象で、下手をすると除外の可能性もなくはないのだが、とにかく仕上がり状態のよさが目立っている。1週前の追い切りも実によかった。
暖かくなり、馬体が締まって気配も上々。「なんとか出したい」と相沢師が祈る気持ちでいるのも、うなずけるというものだ。
こちらのハンデは恐らく51~52キロ。しまい切れる脚があり、一発十分とニラんでいる。