今週から本格的なGIシリーズに突入する。先日のスプリンターズSに続く秋GI第2弾は、秋華賞。3歳牝馬による最後の三冠レースである。
フルゲートは16頭で、除外の恐れがある馬の中には来週の菊花賞にホコ先を向ける馬も何頭かいるが、ここはソダシが最有力候補として、半ば絶対視する向きもある。
周知のように無傷で桜花賞を制したが、続くオークスは「距離の壁」もあったようで、まさかの8着に沈んだ。
しかし、リフレッシュ放牧明けの前走・札幌記念は、先輩格の女傑ラヴズオンリーユーらの追撃を振り切って快勝。後半戦を幸先よく勝ち上がったのであれば、3歳牝馬同士のこの一戦、人気に応えることは、そう難しいことではないように思える。
ベスト距離は1600メートル~1800メートルだと思えるが、ここは前走と同じ2000メートル戦。しかも阪神の内回りが舞台となれば、この馬の死角を探すのは難しいだろう。データもそれを後押しするかのようだ。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単での万馬券は1回のみ(馬連も1回)。この間、1番人気馬は6勝(2着3回)、2番人気馬は7勝(2着3回)。そして1、2番人気馬同士のワンツー決着は3回。「女心と秋の空」とは言うが、それが当てはまらない堅いGI戦。同じ3歳馬同士の戦いでも、来週の菊花賞とは好対照と言っていいだろう。
確かにこの19年間を振り返ってみると、02年ファインモーション、03年スティルインラブ、07年ダイワスカーレット、10年アパパネ、12年ジェンティルドンナ、そして18年アーモンドアイ、19年クロノジェネシス、20年デアリングタクトなど、ここを制した馬は、その後の活躍も目覚ましく、早くも古馬を一蹴したソダシの勝利は揺るぎないように思えてくる。
しかし、だからといって絶対視していいかどうか。ソダシと春に接戦を演じてきたアカイトリノムスメ(桜花賞4着、オークス2着)、ひと夏を越して大きな成長が見られるアンドヴァラナウト(ローズS)、ファインルージュ(紫苑S)の両トライアルの勝ち馬を筆頭として、秋に伸してきた上がり馬は少なくなく、まだ予断は許せない。
穴党としてもソダシの足をすくう馬が必ずいるとみて、大勢逆転の期待を込めたいのは、アールドヴィーヴルだ。
前走のローズSは1番人気で3着と、期待を裏切る格好になったが、見せ場たっぷりの好内容で、力のあるところを見せつけた。オークス(5着)以来4カ月ぶりの実戦だったことを思うと、なおさらだ。
休み明けを使われたことで、この中間はいたって順調。1週前の追い切りも軽快でリズミカルだった。
「落ち着きがあって、いい雰囲気。馬体も細くなっておらず、力を出せる状態」
こう厩舎スタッフが口をそろえるほどで、ならば十分に争覇圏内。勝負になっていい。
とにかく、あか抜けて均斉の取れた好馬体の持ち主で、秘めた力は一級品。フサイチコンコルド(ダービー)、ヴィクトリー(皐月賞)、アンライバルド(皐月賞)など近親、一族に活躍馬がキラ星のごとくいる良血馬。頂点に立ってよく、大きく狙ってみたい。
穴中の穴は、スライリーだ。実績からして、いつ走るかわかりづらいムラ馬だが、休み明けを使われて稽古の動きに素軽さが出てきている。こちらは三冠馬オルフェーヴル産駒で、母系は欧州の一流血脈。一発があっていい。