ファンサービスについては、こんなところでも問題が生じていた。キャンプ中、中日は地元の少年たちを対象とした野球教室をやっているが、地元関係者はこう話すのだ。
「吉見はファンに注文をつけますが、昨年は子供たちに対してもふてぶてしい態度でちゃんと教えようとせず、嫌々やっているのがよくわかりました。もともとファンサービスなどしたくないのかもしれません」
今キャンプ中にも、
「ここでも少年たちに『サインは求めないでくださいねー』とのお達しがありました。そりゃ、落胆しますよね」(球団関係者)
ロッテでは伊東勤監督(51)みずからがキャンプ前ミーティングで「ファンサービスにも徹しろ。時間が空いた時はサインや記念撮影には積極的に応じてほしい。せっかく来てくれるわけだから、選手を身近に感じてほしい」と、選手たちに「おもてなしキャンプ」を熱く説いた。かつてバレンタイン監督時代などは、サインを求められて拒否した選手には罰金が科されたほど。まさに正反対だ。
中日キャンプでのこうした騒動に、地元では大きな波紋が広がっている、と球場関係者は嘆息する。
「ファンサービスが減ると訪れる人が少なくなる。同時に、北谷町の物産を球場入り口で販売しようとしても、売り上げがなかなか伸びない。中日応援グッズの売り上げも減少しています。いずれにしても北谷町にとっては痛手で、ファンの苦情は北谷町職員の耳にも届いています」
そこへ追い打ちをかけるのが、他球団キャンプの「沖縄移設」問題である。デスクによれば、
「今、沖縄本島でキャンプをやりたいと狙っている球団はオリックス(宮古島)、楽天(久米島)、ロッテ(石垣島)、西武(宮崎)。離島はアクセスがよくないし、宮崎には(キャンプを張る)球団が少ないため、オープン戦の相手が限られる。最も切実なのは西武で、オープン戦問題に加え、宿舎の南郷プリンスホテルが経営不振などで一時的に閉鎖するなど、状況はよくありません」
そして球団関係者はこうも言うのだ。
「もし西武などから申し入れがあれば、北谷町は真剣に考えるでしょう。『今後、このまま中日を受け入れていいのだろうか』と考え始めているようですし‥‥」
過去に自治体が球団に「来ないでくれ」と断った例はまだない。はたして中日がその「第1号」となってしまうのか──。「最低でも北谷町外」という落合GMと中日の「移設問題」が今、爆発寸前なのである。
その一方で、選手に対しては「自由主義」方針のようで、
「夜の外出禁止令は出ていません。外泊もOKで、未成年者以外は門限もない。ただ、練習は昨年より明らかに長くなり、若手が帰るのは午後7時頃。昨年は4時には終わっていました。練習がキツいため、翌日のことを考えたら、おちおち飲み歩いてもいられないでしょう」(中日担当記者)
ちなみにキャンプを視察する落合GMは、ほぼ球場と宿舎の往復の毎日で、球団幹部が訪問した際の会食以外は一歩も外には出ていないという。