桜が散って本格的な春の到来となるが、中山競馬場最終週のメインは皐月賞。
3歳牡馬が中心のクラシック第一弾で、ここを勝つ馬は以後の活躍も見込まれ、だいたいがスターホースとして脚光を浴びている。05年ディープインパクト、11年オルフェーヴル、20年コントレイルの三冠馬のほか、二冠馬は03年ネオユニヴァース、06年メイショウサムソン、12年ゴールドシップ、15年ドゥラメンテ。そして昨年の年度代表馬に輝いたエフフォーリアという具合だ。
馬単が導入された03年以降の19年間を振り返ってみても、この時に限って、という“まぐれ勝ち”の馬は、ほぼいない。
しかし、過去19年で馬単による万馬券は8回(馬連は5回)を数える。この間、1番人気馬は6勝(2着3回)、2番人気馬が2勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回のみ。人気どおり簡単に決まっておらず、これまでの実績、下馬評があまり当てになっていないことがわかる。
つまり、今後の活躍が半ば保証されているスターホースが出現するGIでありながら、決して順当に収まっていないことを思うと、予想する側の目も濁っていて、ちゃんと見極めきれていないのだろう。
ディープインパクトのようにハナから突出した力を持つ存在は、めったにいるものではない。だからこそ「埋もれているスターホースを掘り起こせ」というのがこの皐月賞の大きなテーマ。その“スター探し”という馬券的視点がはっきりしたのであれば、予想にも大いに力が入るというものだ。
一昨年のコントレイル、昨年のエフフォーリアに相当するのは、どの馬か。各厩舎期待の素質馬ばかりで、勝ち馬をあぶり出す作業は簡単ではないが、熟慮のすえに浮かび上がったのが、ジャスティンロックである。
前走の弥生賞ディープインパクト記念は、しまい伸び切れず4着に終わったが、勝ち馬(アスクビクターモア)とはコンマ2秒差。しかも3カ月ぶりの実戦だったことを思うと、悪い内容ではなかった。
にもかかわらず評価はイマイチ。しかし軽視は断固として禁物だ。
未勝利勝ちしたあとにGIII京都2歳Sを勝ったほどの馬で、末脚の威力はかなりのもの。能力を秘めていることは間違いない。
前走後は順調そのもの。1週前の追い切りは体全体を使う伸びやかな走りで、まずは文句なし、と言える内容だった。
「重め残りだった前走(前走比プラス10キロ)を使われ、馬体は締まった。心身ともに成長を感じるし、ここまで予定どおり順調にきている。雰囲気はよく、楽しみです」
吉岡調教師をはじめ、厩舎関係者は、そう口をそろえ、状態のよさを強調しているほどだ。
あか抜けて均斉の取れた好馬体からも力は確かと思えるが、血統がまた魅力。名馬サンデーサイレンスの4×3の近親配合で、大一番に強い、俗に言う“奇跡の血量馬”。そして近親にダートのビッグレースを総ナメにして芝でも大活躍した女傑ホクトベガ(エリザベス女王杯)がいる血筋。
頂点に立ってよく、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。