昨年の東西別勝利数は、関東1473勝(重賞41勝)に対し、関西1982勝(重賞92勝)。西高東低は続くが、騎手の成績にも影響はあるようだ‥‥。
当然、騎手の東西移動による成績は、馬券オヤジにとって必須科目だ。西の専門紙記者が話す。
「あの引退した名手・アンカツさん(安藤勝己)でさえ、中山の芝の重賞勝利まで5年もかかったように、主戦場じゃない競馬場で勝ちまくるのは至難の業。それでも何年か経験すれば克服するもんやけど、100勝ジョッキーに躍進した北村宏司(33)は、いまだ関西じゃカモで有名やね(笑)」
確かに、集計期間中の京都&阪神で〈10120〉という“疑う余地のない”成績を残している。記者がポイントを解説する。
「大御所の藤沢調教師の下で育っているからか、しつけのいい馬しか乗れん印象が強い。鳴尾記念はダイワファルコンで2番人気だったけど、一銭も買わんかった(10着)。阪神内回りの芝2000メートルは、そもそも関東の騎手にはなじみがないし、仕掛けどころが難しいんよ。あと、阪神と京都のダート1800メートルも、関東のジョッキーは乗りにくいって話してるわ」
一方、関東の専門紙記者の北村評はこうだ。
「北村宏は“ミスター競馬”岡部イズムの継承者だけに、折り合いを第一に乗っている。レースの中でしっかりと馬に教え込むんですよ。そのため、ちょっとヤンチャな馬だったり、速いペースで逃げ込みを図ることを得意とするタイプとは合わない。能力の高い関西馬が少しぐらい行きたがったら手綱を緩めて行く気に任せてもいいのに、ガッチリと抑え込もうとする」
レースを調教代わりにされても、馬券オヤジにはいい迷惑なだけ。西の横綱はまだ減量騎手の若手だけに、そろそろ内弁慶から脱してもよろしいのでは?
岡部イズムの「馬優先主義」は、東のベテランの横山典弘や柴田善臣(47)にも浸透しているが、そのヨシトミが「馬見知り王」だ。
「そもそも最近のヨシトミさんは年齢もあってか、乗り鞍をしぼっています。よく知らない馬では危機回避もあって決して無理をせず、馬の個性を見定めることが多いように映りますね。したがって2回続けて乗ってきた時、それもレース条件の変更を進言した時なんて、逆に勝負気配が漂います」(関東記者)
とはいえ、2000勝騎手が「馬見知り」でいいとも思えないが、馬券戦略にはありがたい情報だろう。
外国人ジョッキーの台頭で、屈辱の乗り替わりを味わった「外国人に奪われ王」ランキングは、錚々たるベテラン勢を抑え、若手の有望格・浜中俊(25)が制した。
「某有力オーナーは外国人騎手が好きだし(笑)、調教師に対する発言力も強い。当然ながら短期免許の外国人騎手はGI本番用で、トライアルは日本人騎手。若い浜中なんて格好のつなぎ役ですよね。だから、初のリーディングに輝いた年にGI勝利なしという寂しい結果でした」(記者)
ところが、外国人ジョッキーの中でもテクニシャンのC・ルメール(34)、剛腕のR・ムーア(30)が人知れずB級騎手並みのデータを残していた。個人馬主が話す。
「彼らの目に映ってるのは、世界一という高額な賞金体系のGIシリーズ。当然、有力オーナーや社台軍団の目を気にしている。だからレースの格で騎乗ぶりがガラッと変わってきて、複勝率も下がるんだと思います。やはり下級条件のレースでは、制裁に注意し、日本の騎手からクレームを受けないようにタイトなレースをしないと聞きます。逆にGIになれば、勝負どころの直線で厳しいところを平気で割ってくる」
能ある外国人は爪隠すとでも言うべきか。クラシックに最短距離のディープ産駒で勝てない日本人が多いようでは、今後もこの傾向は続くことは間違いない。