テリー 金メダルを獲った男子の金メダリスト、羽生結弦選手はどうでしたか。
渡部 いやあ、SPはすばらしかったですね。
テリー すごいよね。僕は100点以上の点数があるのを知りませんでした。何点が上限なんですか。
渡部 いや、上限はないんですよね。もしかして将来は5回転を跳ぶかもしれませんし、技が成長していくことによって点数も増えていくので、これが最高点というのはないんです。
テリー これからの羽生選手はどうなりますか。
渡部 ここで金メダルを獲っていますから、彼のモチベーションがまた次の4年後まで続くかどうかという問題がありますね。だけど、私はケガをしなければいいと思うんですよ。アメリカのグレイシー・ゴールド選手みたいに、突然うまい選手が出てくるということがあって、羽生選手はこれから追われる立場になるわけですけど、そのプレッシャーに耐えて、また4年間頑張ってほしいと思います。
テリー 彼はフリーで2回も転んだじゃないですか。あんまりうれしそうな顔をしていなかったから、もっといい点数を取ろうというモチベーションはあるかもしれませんね。
渡部 そうですね。3月に日本で世界選手権があるので、そこでまたぜひ力を発揮してほしいです。
テリー 浅田選手も、3月の世界選手権の出場を決めましたね。また演技が見られるのは日本中にとって本当にうれしいことだと思う。キム・ヨナ選手に負けたままなのも、やはり悔しいし。キム選手は、2年間休憩してたわけですから。
渡部 ただキム選手は、2年の間に滑ってはいるんです。アイスショーでプレッシャーのない滑りをずっとやってきて、自信をつけたんだと思います。私は去年の6月に韓国で彼女の演技を実際に見ましたけど、お客さんを手のひらの上に乗せているような感じのすばらしい演技力でしたね。
テリー じゃあ、大会に出るよりもアイスショーに出て、のびのびと滑るのもまたいいってことなんだね。
渡部 試合となると、やはりプレッシャーがすごいですから。メンタリティのケアが大変になってきます。
テリー やっぱり浅田選手には、まだ続けてほしいですよね。先日の記者会見では、継続と引退の可能性は「ハーフ、ハーフ」だと発言していますが。
渡部 そうですね。10年のバンクーバーでトリプルアクセルを3回も跳んでギネスブックにも載り、数々の記録を残してきましたし、真央ちゃんがいたからこそ、これだけのフィギュアスケート人気もあったと思うんです。
テリー それは確実にそうでしょうね。
渡部 荒川静香さんも06年のトリノオリンピックで金メダルを獲っていますが、彼女は前年の世界選手権では9位、全日本選手権でも3位と、実はあまり金メダル候補としては注目を集めてはいなかった。
テリー 荒川さんもすごかったね。トリノ後は確かに、すぐに引退された。
テリー そうなんです。選手としてはそんなに長く続いたほうではなかった。だから、浅田選手の功績というのは、本当に金メダル以上の価値があるんじゃないかと思います。