「取手記念」◎吉田拓矢/○松浦悠士/▲新田祐大/△太田竜馬/佐藤慎太郎/宿口陽一/神山拓弥/和田真久留/吉澤純平/杉森輝大/佐々木悠葵/石原颯
ファンから期待されるのは、選手が奮起する何よりのモチベーションになる。
「取手記念」(6月4日【土】~7日【火】)は、メンバー多彩な地元地区が断然有利。強力な機動型がそろう中四国とのライン戦になりそうだ。そこに割って入るとすれば北日本勢だが、苦戦はまぬがれそうにない。
前走の宇都宮記念を快勝した吉田拓矢が断然の主役を務める。その後位は吉澤純平─杉森輝大が固める。さらに神山拓弥が加われば鉄壁の4車。地元勢による表彰台独占もある。
対抗の松浦悠士には、石原颯─太田竜馬の2段ロケットが心強い。好位からの逆転を警戒したい。
あとは佐藤慎太郎がガードする新田祐大と、太田の台頭とみた。
解説役として宇都宮記念を現地で観戦したが、吉田拓矢はレースぶりに余裕が感じられた。SS班のプレッシャーも楽しんでいるようで、ここを勝って記念を連勝するようなら、次走の岸和田高松宮記念杯(6月16日~)が楽しみになる。
松浦とともに、西日本のファンが期待しているのが太田竜馬だ。全日本選抜と宇都宮ウィナーズC決勝戦では松浦と連係している。先行力に磨きがかかり、快走劇を演じる資格は十分に備わっている。
【大穴この1車】三谷竜生(奈良・101期)。
17年はダービー、18年はダービー、宮杯、GPを制しているが、今年は記念でさえ準決勝止まり。むしろ万車券メーカーとなりつつある。ダービー2走目3着が2万1640円、ウィナーズC3日目2着は5万2210円を演出している。また、地元の2月奈良記念(〈2〉〈2〉〈7〉〈1〉)の2次予選が3万4530円、最終日1着も1万5960円だった。先行力があり、ヨコにも強い自在型。しかも相手が強くなるほど燃えるタイプだけに、手広く流したい。
【狙い目の伏兵3人】
吉田有希(茨城・119期)が、満を持して地元記念に登場する。すでにGIIIの決勝戦を経験している。ファンが見てみたいのは、兄の吉田拓矢とともに決勝戦に乗る姿だ。
吉田有希と同県の小畑勝広(115期)は、補充とはいえウィナーズC2着が光る。3場所連続の記念参戦はハードだが、そろそろ1次予選の快勝に期待。
今期は2班の嵯峨昇喜郎(青森・113期)に本来の走りが戻ってきた。4月GIII青森決勝戦では吉田有希とマッチアップ。共倒れしたとはいえ、突っ張り切っている。北日本の先頭から前残りがある。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。