競馬の祭典・日本ダービーが終わり、6月11日【土】から新馬戦が函館競馬場で始まる。今年の夏競馬は未来のクラシック馬探しだけでなく、ハイペースで勝利数を伸ばす新人の今井聖奈騎手(18)にも、熱い視線が集まっているのだ。
5月22日、ルーキーの今村聖奈騎手が3月5日のデビューから、わずか3カ月足らずで10勝目をあげ、JRA新人女性騎手の最多勝記録を22年ぶりに更新。これまでは96年の増沢(旧姓・牧原)由貴子元騎手、00年の西原玲奈元騎手の9勝が最多だった。
JRAの女性騎手では現役4人目となる今村騎手のデビュー前、YouTube「カンテレ競馬」で、週刊アサヒ芸能コラムでもおなじみの細江純子氏は「みなさんが驚くくらい活躍すると思いますよ」と、予言していた。
「16年デビューの藤田菜七子ちゃんの活躍もあって、女性騎手の競馬環境がさまざまな点で改善、向上しました。特に19年から『女性見習騎手4キロ減(50勝以下)』になったことは大きいと思います。そして何よりも驚いたのが騎乗技術の高さです。昨年、模擬レースを見た時も、スタートセンスのよさ、冷静なレース運び、鞭の持ち替えなど、レベルが高いな~と思えたし、これまでの女性騎手のイメージさえも変えてしまうだろうなと、期待していました」
スポーツ報知レース部の牧野博光デスクも、今村騎手の心技体の充実ぶりについて、こう話す。
「まず、しっかりとしたアスリート体形ですし、デビュー前から『女の子なの?と思われるぐらいカッコいい騎乗を見せられたら』と話していたぐらいの負けず嫌い。レースパターンの多彩さも目を引きますね。4キロ減のアドバンテージを生かした逃げ切りや追い込みだけでなく、好位からも中団からでも勝ち星をあげている点は見逃せません」
5月14日は新潟4Rと5Rで初の1日2勝。4Rは好スタートも、先手を奪いにきた馬を行かせて向こう正面から先頭に立ち、最後はクビ差でしのいだ。5Rでは中団の内で折り合い、残り200メートルから外に持ち出して突き抜けた。藤田菜七子騎手のルーキーイヤー以上の騎乗センスが光る。
「5月21日の新潟では4キロ減が適用されないメインレース『八海山S』に57キロで騎乗しています。所属厩舎の馬で、同じエージェント(騎乗依頼仲介者)の岩田康騎手からの乗り替わりとはいえ、オーナーサイドからも評価されている証し。9番人気で5着でしたが、私も本命の印を打っていました」(前出・牧野氏)
新人の中でも際立つ技術で2位の角田大和騎手に2勝差(5月22日終了時点)をつけている今村騎手。
「夏のローカル競馬で順調に勝ち星を重ねていけば、JRA賞最多勝利新人騎手賞(30勝以上が対象)のチャンスも十分にあると思いますよ」
この細江氏の予言も的中するかもしれない。