競馬界のスーパールーキー・今村聖奈の勢いが止まらない。2回新潟開催の2週間で4勝し、8月9日(火)の盛岡、10日(水)の浦和でも優勝。通算29勝(JRA25勝+地方交流4勝)となり、GIレース騎乗可能の「31勝」まであと2勝となった。
ちなみに、藤田菜七子がGIに騎乗できるようになったのはデビューしてから2年3カ月後のことで、いかにハイペースで勝ち星を積み重ねているかが分かるだろう。あるトラックマンがこう振り返る。
「コーナーがきつい小回りの浦和を、初めての騎乗で乗りこなせる騎手はそうはいない。驚いたのは、直線で左右の馬から挟まれながら、それをしのいでハナ差勝ちしてみせたこと。実に勝負強い。10年、いや20年に一人の逸材と言っていい」
彼女が凄いのは、逃げて良し、差しても良し、追い込んでも良しと、どういう乗り方をしても勝てること。これは秀でた騎乗技術があることはもちろん、日頃から騎乗馬の癖や性格を掴むように務めていることの証でもある。
勝利数が増加するにつれ、馬主からの騎乗依頼もドンドン増えている。その中には、メイショウの松本好雄氏やテイエムの竹園正繼氏、さらにディープインパクトで知られる金子真人氏の名前も見られる。大物馬主からもモテモテなのだ。
「彼女のエージェント(騎乗依頼仲介者)は辣腕の小原靖博氏だから、騎乗馬をしっかり集めてくれる。およそ1カ月先まで、どの馬に乗るか決まっているといいます。強力なサポートがあることは大きいですね」(前出・トラックマン)
メディアからの取材依頼も殺到しているが、そちらのほうはホリプロが請け負うことになった。ホリプロのスポーツ文化部には福永祐一や川田将雅、藤田菜七子も所属しており、その仲間入りをする。ただ、当面はテレビ出演などより、競馬に集中できる環境づくりをアシストしていくようだ。
この調子なら秋にはGIで騎乗し、年間50勝も夢ではないだろう。馬券で勝つためにも彼女の動向から目が離せない。
(兜志郎/競馬ライター)