競馬界のアイドル・藤田菜七子(24)が、7年目にして極度のスランプに陥っている。後輩の女性騎手も台頭する中、苦しい戦いを強いられているのだ。
ピーク時はデビュー4年目の19年に43勝、翌20年に35勝を挙げた。今年は136鞍騎乗してわずか1勝のみ(5月12日現在)。好調時は1日5~6レースに騎乗。3勝を挙げることも少なくなかった。ところが、今年に入って乗鞍が減少。5月2週目は土日でわずか3鞍。騎乗馬ゼロの日もあった。
1番人気馬の騎乗回数でも雲泥の差だ。19年に45回を記録した1番人気も今年はわずか1回に過ぎない。騎乗馬の質も量も落ちていると言われるが、競馬記者によると、
「菜七子を乗せ続けたドクター・コパ氏(コパノの冠)所有馬の騎乗も昨年は4回、今年はわずか1回のみ。重賞を2勝したコパノキッキング(東京盃&カペラS)に至っては1年半以上乗っていません」
若手ジョッキーは減量が取れてからが勝負となる。「1キロ1馬身」と言われる通り、デビューまもない藤田は減量(最大4キロ減)当時こそ勝ち星を積み重ねていたが、100勝を挙げて女性騎手特有の減量(2キロ減)のみとなって以降、勝率は明らかに下がっている。これは、多くの騎手が経験する「壁」にぶつかっている状況と言えよう。
加えて昨年10月、新潟でゲートを出る際、手綱を縛る金具が鎖骨に強く当たり、2年前に落馬で骨折した左鎖骨を再び骨折した。単なるアクシデントだったが、不運は重なるもの。
復帰後の騎乗について先の競馬記者が明かす。
「外を回らされて届かない騎乗が増えています。横山武史や岩田望来のように、減量が取れて躍進する騎手は騎乗スタイルに進歩が見られるのですが、彼女の騎乗フォームは以前と変わっていません。馬群を怖がっているようにも見えますが、勝ち星を伸ばすのに馬群は避けて通れません」
その言葉通り、直近の5勝はすべて逃げ切り勝ち。骨折する前は先行馬を控えさせての“差し勝利”も見られたが、今年は「届かず大差負け」がほとんどだ。
「今年の3月から拠点を関西に移したのも、スランプという現状を打開するためでした。彼女は140勝のうち60勝を新潟で挙げており、遠征する関西馬の騎乗依頼を確保するための長期滞在でしたが、ここまではまだ結果を残せていません」(競馬記者)
同じ女性騎手では、デビュー2年目の永島まなみと古川奈穂が今年4勝、ルーキーの今村聖奈はすでに6勝を挙げており、後塵を拝している。3人とも4キロ減の恩恵があり、「藤田よりも‥‥」と思う関係者も少なくないという。
とはいえ、勝ち星の上がらない騎手の中でも騎乗回数はダントツに多く、「今は耐える時期」とも言える。
牧原由貴子や細江純子など、過去にJRAでデビューした女性騎手のほとんどが5年前後で現役を引退しているが、7年目を迎えた彼女がこの先、復活できるかどうか。見守りたい。