「仮に『江川卓VS掛布雅之』という打席が、年間20打席ありました。その20打席、ヒットがゼロ。でもホームラン性の打球を全打席で打った。片や20打席で5本のヒットを打った。これが全部真っ直ぐに詰まらされて、センター前に、レフト前に落ちた。江川卓はどっちが嫌かな」
さて、みなさんはどう答えるだろうか。
これはミスタータイガース・掛布雅之氏がYouTubeチャンネル〈掛布雅之の撞球【公式】〉の中で出した「お題」である(5月28日)。
つまりは、現役時代に名勝負を繰り広げた剛腕に、より「イヤな印象」を残すバッティングはどちらか、というものだ。
答えは前者だった。
掛布氏は対投手の打撃論について、次のように解説した。
「よくて3割というバッターのアベレージゆえ、7割の『いい失敗』を考えることによって、ピッチャーにプレッシャーをかけ、四球の数が増えていったりだとか、そういう中の勝負があって、3割なの」
掛布氏はまた、史上初の全冠制覇を成し遂げた元棋士・升田幸三と対談した際のことも回想。3割バッターでも10回のうち7回はアウトを献上することから「失敗を大切にしなさい」と言われたのだと。掛布氏は言う。
「10打席ゼロ安打でも、相手のバッテリーにプレッシャーをかけているゼロってあるんですよ」
4番がここぞの場面で凡退しても、相手チームにプレッシャーをかけられたか。そんな視点を加えることで、プロ野球の見方が変わるのだ。
(所ひで/ユーチューブライター)