「GIII松戸」◎脇本雄太/○山口拳矢/▲高橋晋也/△犬伏湧也/椎木尾拓哉/近藤保/才迫開/堀内俊介/末木浩二/大石剣士/野口裕史/菊池岳仁
自在脚の選手にとって、若手機動型の後位は願ってもないポジションになる。
ナイターで行われる「GIII松戸」(6月9日【木】~12日【日】)には、独壇場になりそうな断然の主役がいる。33バンクにふさわしい快速レーサーもそろってはいるが、脇役に甘んじることになりそうだ。
いわき平ダービーを制した脇本雄太に死角は見当たらない。ここは19年に完全Vで1度目のダービー王の座に就き、赤板から2周駆けても押し切るパワーがある。圧巻のパフォーマンスで、出走がかなわなかった岸和田高松宮記念杯(6月16日~)の無念を晴らす。
焦点は2着争いで、その1番手は山口拳矢だ。好位から先まくりを打ち、脇本に肉薄するシーンに期待する。あとは早めに先手を取る高橋晋也と、大器と評判の犬伏湧也だろう。
印は回らなかったが、野口裕史は大柄な体だけに、苦手な小回りバンクを克服しようと、ここによく練習しに来ている。相手は強力だが、長いラインを味方にして見せ場は作る。もう一人、才迫開の動きがいい。自在戦に活路を見出しつつあり、犬伏を援護してチャンスを窺うことになる。
【大穴この1車】
池田良(広島・91期)。
5月までの11場所で、実に万車券を9本も量産している。そのうち6本はS級戦だが、2月にはGIIIで爆発した。奈良記念(〈6〉〈1〉〈4〉〈3〉)の2日目が1万7310円、最終日も1万5960円。続くGIII高知(〈5〉〈7〉〈4〉〈2〉)の最終日は4万3300円のビッグショット。さばきが巧みな追い込み選手で、狙った位置は取り切る。久々の東日本見参だけに人気になりそうになく、初戦から大暴れがある。
【狙い目の伏兵3人】
地元千葉勢の先頭で風を切ることになるのが、原田亮太(千葉・115期)だ。FI戦で苦戦しているものの、ラインが長くなれば前残りもある。
道場晃規(静岡・117期)は、叩かれても巻き返す脚があり、すでにGIII3場所で2度予選を突破している。初日は1着で狙う。
3月に特昇した志田龍星(岐阜・119期)が、初の9車立てに登場する。まだS級のペースに慣れていないが、潜在能力の高さで好走するようなら、大化けがある。
「ガールズ」は児玉碧衣が本命も、このところやや安定感に欠けているため、先行力が持ち味の○奥井迪の逆転も押さえておきたい。3着候補は▲飯田風音と△岩崎ゆみこの争いになりそうだ。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。