加齢臭を含む「ニオイ分野」の研究は日進月歩。最近では、化粧品メーカーのマンダムが、40代の男性に特有の「ミドル脂臭」なるニオイがあることを発表している。
「暖かくなると汗をかきやすくなる。汗の中から乳酸が出やすくなります。実は加齢臭のノネナールはそれほど不快なニオイではないのですが、この『ミドル脂臭』の成分であるジアセチルは本当に不快なニオイなんです。このジアセチルが出ないようにするには、適度な運動をして、いい汗をかくことが重要です」(五味院長)
そのニオイは、使い古した廃油や腐ったバターのような悪臭というから、一般的な加齢臭どころではないのだという。
「さらに注意したいニオイに『疲労臭』もあります。肝臓はニオイ成分を分解して無臭化する器官ですが、お酒を飲みすぎると肝機能が低下し、アンモニアを分解できなくなります。ご存じのとおりアンモニアは尿と同じですから非常にニオイがきつくなるわけです。喫煙や運動不足、さらには日頃の仕事のストレスをためたまま会社帰りにちょっと一杯飲みに、という生活が疲労臭のもととなります」(五味院長)
やはり、ニオイが気になるシニア世代は肝臓に気をつけながら飲むことが大事なのだ。
実は、「加齢臭」という言葉は資生堂が命名し、その「年を取った人が臭くなる」という強烈なイメージが先行したため、こんな現象も起きているという。五味院長が言う。
「自分は臭っていると悩んでいる患者さんでも、意外にかいでみるとノネナールはもちろん、何のニオイもしないことが多い。そうした患者さんの特徴としては、ふだんからネズミ色の服を着て、食後はツマ楊子をシーハー、駅でツバを吐き散らしそう‥‥と、むしろ見た目や言動が“オヤジくさい”んです。そういう人が自分の言動から勝手にオヤジ臭がしていると思い込んでしまっている。ですから、シニア世代になったら、あえてカラフルで清潔な服装をし、若々しい言動をするなど“イメージ臭”を重要視することも、加齢臭で悩まないために必要だと思います」
となれば、ここは、加齢臭を撃退し、ついでに若返りも果たして「一挙両得」といきたいものだ。