どうせ外国人を獲るなら、秋山翔吾を獲れ──。
阪神の新外国人選手、アデルリン・ロドリゲス内野手の獲得に、チーム内外からこんな声が漏れている。
球団OBのひとりは、次のようにボヤくのだ。
「外野手ならともかく、なぜ一塁しか守れない外国人を獲得するのか。大山が一塁、佐藤輝の三塁が現状ではベストのはず。どうせなら、日本球界復帰を決めた秋山に声をかければいいのに」
パドレス傘下の3Aエルパソを退団し、日本球界復帰を決めた秋山獲得に色気をみせる日本の球団は、古巣の西武をはじめ、複数ある。
MLBでは結果を残せなかったが、西武時代の15年には216本安打を放ち、シーズン最多安打記録を更新した打撃は一級品。さらに、ゴールデングラブに6回も輝いた外野守備には文句の付けようがない。
確かに西武時代の最高年俸推定2億3500万円の秋山を獲得するには、それなりの金額を用意する必要があるだろう。推定年俸25万ドル(約3250万円)の格安ロドリゲスに比べれば大幅な出費増になる。だが、いくら出費を抑えても、数字を残さなければ死に金だ。トップクラスの観客動員数を誇る人気球団で、西勇輝には推定2億円の年俸を支払っているタイガースが支払えない額ではない。
ロドリゲス獲得の弊害は、あまりに大きい。支配下選手枠が一杯となり、新たに選手を獲得することができないからだ。
「まだ7月31日まで、他球団とのトレードが可能な期間は残っている。その間、どんな話が飛び込んでくるか分からない。それに備えて支配下選手枠を余らせておくのは、半ば常識だろう」(前出・球団OB)
ロドリゲスの獲得は、
「開幕から低迷状態が続いていたことで、6月15日の阪急阪神ホールディングスの株主総会が荒れそうなことを察知したフロントが、『何かやった感』を出そうとしたため」(在阪スポーツ紙遊軍記者)
秋山もロドリゲスも同じエルパソでプレーしていたチームメイト同士。どうせエルパソから選手を獲るなら秋山の方が…。そんな声が上がるのも無理からぬことではないか。
(阿部勝彦)