6月21日に起きた埼玉・川越のネットカフェ立てこもり事件。埼玉では昨年6月にも、大宮で客を装った男が女性従業員を人質にとった、同様の事件が起きている。
この1年、大阪の雑居ビルに入る精神科クリニックでの放火事件、小田急線内や京王線内での放火事件など、自暴自棄になった犯人が無差別に利用客や乗客、従業員を巻き込む「巻き添え型犯罪」が目立つ。自衛策はあるのか。
事件現場となった川越と大宮のネットカフェには共通点があると、社会部記者が言う。
「店内が暗くて狭い。見通しが悪い。死角が多い。なので、不審な行動をとっても他の客や男性従業員に見えにくい部屋を選んでいるのでは」
新型コロナ蔓延以降、緊急事態宣言のあおりを受けて廃業したネットカフェチェーン店は多い。本棚と個室が入り組んだネットカフェが迷路のような構造なのは業態上しかたないが、収益率の高い小さな個室を詰め込んだ営業形態のチェーン店が生き残っている。
個室と個室のドアの間隔が狭く暗い店舗では、不審人物が行動を起こした時に、襲い掛かってくる犯人を交わして逃げるスペースがない。ネットカフェだけでなくカラオケボックスでも、店員や他の利用客の死角になる部屋を避けた方がよさそうだ。
雑居ビルや電車内でも、
「万が一、無差別に人を巻き込もうとする事件に遭遇したら、通路に火をつけられた時に別の避難経路があれば、助かる確率は高くなります」(前出・社会部記者)
収入は増えず、未来は暗い。その上、食べ物から着る物、電気代まで値上がりし、生きにくい世の中になった。模倣犯が生まれないことを祈りたい。