福島競馬第2週目のメインは、恒例となった七夕賞。芝2000メートルのハンデ戦で、毎年、一筋縄では収まらないのが特徴だ。
まずは過去のデータを見てみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単での万馬券は7回(馬連は6回)を数える。この間、1番人気馬は4勝(2着4回)、2番人気馬はわずか1勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着はない。ハンデ戦の重賞としては、万馬券はそう多いとは言えないが、それでも1、2番人気馬が連対を果たしている回数がこれほど少ないのはマレである。
これがハンデ戦の妙というものだが、だからこそおもしろく、馬券的にもそそられる重賞なのだろう。
GIII戦で小回りの福島だけに、軽ハンデ馬がよく連に絡みそうに思われるが、意外とそうでもない。過去20年間で57キロを背負った馬が11勝(2着2回)と最も多く勝利を収めていることは特筆していい。これに続くのが56キロの3勝(2着3回)、55キロは1勝(2着7回)で、57.5~59キロの馬が5連対を果たしている。やはり実績馬は、軽く見るわけにはいかない。
年齢から見ても6歳以上の古豪がよく頑張っている。6歳馬の8勝(2着8回)は、充実著しい5歳馬の8勝(2着7回)と肩を並べるもので、7歳馬が2勝(2着2回)ということを思えば、重ハンデの古馬でも、きっちりと状態の良し悪しを見極める必要がありそうだ。
では、顔ぶれを見てみよう。昨年は57キロを背負った5歳牡馬のトーラスジェミニが勝ち、53キロの5歳牝馬ロザムールが2着という、行った行ったの結着だったが、この両馬がそろって出走してくる。そして、前哨戦ともいえる同じ条件の福島民報杯を圧勝したアンティシペイト、福島をめっぽう得意にしているヴァンケドミンゴ、鳴尾記念3着の古豪サンレイポケット、さらにステラリア、ヒュミドール、フォルコメン、モズナガレボシと、個性豊かな役者がそろった。まさにおもしろくも難解な一戦だ。
悩み、迷うが、最も期待を寄せたいのは、プリマヴィスタである。
奥手と言ってよく、5歳の今になってようやく本格化してきた。この春、休み明けの三方ヶ原Sをレコードで快勝。続く昇級初戦となった前走の目黒記念では8着に敗れたが、見せ場たっぷりで勝ち馬とコンマ3秒差の好内容だった。前走比プラス8キロとやや重め残りの状態で落ち着きがなかったことからして“2走ボケ”だったとみることもできる。しかもハーツクライ産駒であることを思えば、まだまだ活躍する余地があるとみていいだろう。
前走後は短期放牧でリフレッシュ。ここを目標にしっかり乗り込まれており、仕上げに抜かりはない。
器用さがあり、小回りの福島は〈1 0 1 1〉と相性もいい。恐らくハンデは据え置きで目黒記念と同じ53キロだろう。データ的にはハンデを背負った馬のほうが好成績を残しているが、フィエスタギャル(CCAオークス、マザーグースS)など近親、一族に活躍馬が多くおり、力を秘めていることは明らか。チャンスは十分あるとみた。
穴中の穴は、エヴァーガーデンだ。前走、昇級初戦となった福島牝馬Sは11着に敗れたが、その後はここを目標に立て直して、しっかりと調整はできている。
1週前の追い切りは、しまい重点にいい併せ馬ができており、深山調教師も「前走以上。距離、コースとも走れる条件はそろっており、前走と違って内枠を引けるようなら」と、期待感を膨らませている。
走りっぷり、血統(母系)から道悪になっても問題はない。51~52キロの軽ハンデが予想される馬で、一発があっていい。