ついにアフリカ以外の地域(ブラジル、スペイン、ペルー、インドなど)でも死亡者が確認され始めた「サル痘」。このサル痘を巡っては、欧米での感染確認が相次いだ当初から「感染は男色コミュニティーを中心に広がっている」と指摘されてきた。
事実、イギリスのロンドン大学クイーンメアリー校の研究者らが、世界で最も権威のある医学雑誌として知られるNEJM(ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン)誌のオンライン版(7月22日号)で公表した国際共同研究結果でも、「感染者の98%は男色愛好家またはバイの男性」と報告されているのだ。
そんな中、東京における男色コミュニティーの聖地とされる東京・新宿2丁目界隈で飲食店を営むオネエたちの間で今、静かな怒りの声が上がり始めている。古参のオネエの1人も憤懣やるかたない面持ちで、
「エイズだって、最初は男色愛好家やバイに特有の病気、って言われてたでしょ。でも、全然違ってたじゃない。サル痘だって同じよ。女だって感染するんだから。こういう偏見はもうヤメにしてちょうだい、って言いたいわよ。ホント、失礼しちゃうわ!」
秘めたる怒りをこうブチまけた上で、さらに界隈の窮状をこう明かすのだ。
「つい最近も、冷やかしで来た客から『オネエ、サル痘の方は大丈夫か』って、からかわれたのよ。『あなた、ふざけんじゃないわよ!』って言い返してやったら『つまんねえ店だな』って言って出ていっちゃったわ。大きな声では言えないけど、ウリ専の子なんかは、客は逃げるし、感染も怖いしで、パニックになっちゃってるわよ」
実際、エイズがそうであるように、サル痘もまた「誰にでも移り得る感染症」である。WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長も、同性の愛好者間での感染リスクを認めた上で、「偏見や差別はどんなウイルスよりも危険である」とクギを刺している。
エイズが蔓延し始めた時の過ちを繰り返してはならない、ということだ。