今シーズン限りで退任する阪神・矢野燿大監督の後任に球団OBの岡田彰布氏が内定したと、9月27日、一部スポーツ紙が報じた。
現時点で阪神は、日本シリーズ進出が可能なクライマックスシリーズ進出圏内に踏みとどまっている。しかし、10月20日にドラフト会議があるなど、来シーズンへの準備を急がなければいけない時期になったのも確か。そんな状況下ながら、矢野監督の後任について報じられたのは今回が初めてとなる。球団OBが明かす。
「岡田さんは金本知憲元監督が退任する19年秋にも、次期監督候補として浮上。本人も報道を信じて、水面下でコーチ人事の組閣を進めていた。候補者には『決まったら頼むで』と声をかけていたのに、結局、1軍ヘッドコーチが内定していた矢野2軍監督を1軍監督に緊急昇格した形で、球団が対応しています」
03年に阪神をリーグ優勝に導いた星野仙一元監督の後任として、岡田氏は04年から08年まで監督として在籍し、05年にはリーグ優勝も果たしたが、フロントに物申すことでも有名だった。球団関係者が渋い表情で言う。
「そのため、現球団フロント陣は岡田氏ではなく、平田勝男2軍監督を強烈に推しています。その旗振り役は、今年4月から球団オーナー代行者になった谷本修元球団副社長。万が一、岡田氏就任の流れになれば、自らの進退を懸けて勝負に出る、と言われているほどです」
水面下のデッドヒートがどんな結末を迎えるのか、ファンは見守るしかないが、実はもうひとつ、次期監督をめぐっての「闘争」が勃発していたという。
9月に入ってから、球団が担当メディアに対して「先行報道した場合には無期限で取材から外す」とLINEで通知していたことが「週刊文春」で報じられている。前出の球団OBは、
「試合そっちのけで人気球団の監督人事を報じるのは、関西マスコミのお家芸。今回もマスコミを押さえつけたい谷本オーナー代行者の命を受けて、球団広報担当者が圧力をかけるために、わざわざLINEを送りつけた。つまり今回の岡田内定報道は、『出禁』覚悟の表れにもなる」
今後は押さえつけていた報道規制がなし崩し的に解かれる可能性もあるが、LINEでわざわざ釘を刺しておきながら、結局、効果がなかった球団の面目は丸潰れとなった形なのである。