近年、患者数が増加傾向にある「前立腺ガン」。厚労省と国立がん研究センターが2022年に公表した「2019年の全国がん登録 罹患数・率 報告」によると、「前立腺ガン」は9万4748人と、男性の部位別ガン罹患数のトップに君臨しているのだ。
「前立腺ガン」の発症リスクを減らすことができるかもしれないと注目が高まっているのが「エクオール」だ。これは、腸内細菌「エクオール産生菌」によって大豆のイソフラボンから生成される成分である。
国立がん研究センター疫学研究では、血中エクオールが高いグループは、エクオールが検出できなかったグループに比べて、前立腺ガン患者の割合が低いことがわかった。この研究結果から、前立腺ガンに対するエクオールの有用性に期待が高まっているのだ。
厄介なのは、エクオールは誰でも体内で作り出せるわけではない点にある。腸内に「エクオール産生菌」を持つ人は、大豆を食べるとその中のイソフラボンがエクオールとなり体に吸収されるのだ。
しかし、日本人では、およそ半数しか大豆を摂取しても体内でエクオールを作り出すことができないと言われている。
自分がエクオールを作れるかどうかについては、病院に行かなくても検査キットで判別できる。自宅で採尿し、郵送するだけなので手間もそれほどかからない。検査キットは、ネットや医療機関でも購入可能だ。
もし自分が体内でエクオールを作り出せない体質であれば、市販の「エクオールサプリメント」を摂取することで対応できる。
さらに、エクオールは前立腺ガンのリスク低減だけではなく、男性の更年期障害「LOH症候群」などの改善にも効果があるといわれている。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。