「55本、王さんと並んで止まるでしょう」
9月13日に55号を放って以降、12試合53打席ノーアーチ(9月29日時点)と、足踏み状態が続くヤクルト・村上宗隆。これを早くから予言していたのが、野球解説者の斎藤雅樹氏だった。
斎藤氏が槙原寛己氏のYouTubeチャンネル〈ミスターパーフェクト槙原〉に登場し、冒頭の発言をしたのは9月29日。だが驚くべきは、収録されたのが9月5日だったことである。
収録前日の9月4日、村上は中日戦で51号2ランを放っていた。バレンティンが13年にマークした60本塁打の記録更新も夢ではないと、燕ファン、野球ファンが大いに盛り上がっていた時だ。
村上の状況をズバリ言い当てた斎藤氏は、阪神のバースが54本塁打を記録した85年を振り返る。この時点で、王貞治の55本塁打がプロ野球記録だったのだが、
「(巨人VS阪神の)最終戦、ボク先発だったんですよ。(バースに)2打席フォアボールですよ。そうしたら、阪神ファンがブーブー言うわけですよ。それで3打席目にヤーッてストライク投げちゃったら、カーンってヒット打たれて、危ねぇ危ねぇって」
当時、巨人の指揮を執っていたのは、記録保持者の王監督。目の前で記録に並ばせるわけにはいかないと、綿密なミーティングの上、無双状態のバースとの勝負回避もやむなし、だったという。
翻って、村上はどうかといえば、あの時のバースのように、あからさまに勝負を避けられているということはないにせよ、問題は「世界の王」に並んだプレッシャー。村上自身はリーグ優勝決定後のインタビューで「メディアの皆さん、どんどんプレッシャーをかけて下さい」と言い放っていたが、このところの不振を見ると、実際の心境はどうだったのか、と慮ってしまうのだ。はたして、最終成績はどうなるのか──。
(所ひで/ユーチューブライター)